ヨ・ラ・テンゴ(Yo La Tengo)@EX Theater

2日前にスウェードのライヴで来たばかりのEX Theaterだが、スウェードは急遽決まったのに対し、ヨ・ラ・テンゴは半年前にチケットが発売されていた。なので、半年間気持ちを温めてライヴに臨んだ格好だ。

定刻より8分ほど過ぎたところで客電が落ち、向かって左の袖から3人がゆっくりと登場。早速『Pass The Hatchet, I Think I'm Goodkind』で始まるが、助走も肩慣らしもなく、いきなりアイラ・カプランのギターが爆音モードで、これだけで場内は活気づいた。

機材はステージ前方中央に集中するように設置され、アイラが向かって右、ベースのジェイムスが向かって左、2人の間にドラムのジョージアという配置に。後方には、照明がいくつか設置されていた。装飾など全くしないバンドと思っていたが、ショウを映えさせるための最低限のセットは組んでいる。

ジェイムスはほぼ直立不動でベースを弾き、巨漢の体躯には安定感すら漂っている。そして、小柄で一見非力そうなジョージアだが、叩き出されるビートは思いのほかパワフルで、そして躍動感に満ちていた。

しかし、バンドの中心軸に位置しているのはやはりアイラだ。ストラトキャスターを中心に使い、ほぼ1曲毎にギターを交換。エフェクターも何度となく駆使し、ループ処理も行い、プレイではノイジーでメタリックなリフを炸裂させていた。曲によってはギターを手放して、キーボードを弾くこともあった。

中盤ではジョージアが前に出てきてヴォーカルを取り、つまりドラムレスに。『Cornelia And Jane』『I'll Be Around』などのソフトな曲がいくつか演奏され、先ほどまでノイズで蹴散らしていたのと同じバンドとは思いにくい、優しい空気に場内は包まれた。この両極端な音楽性が違和感なく同居していることこそ、ヨラテンの大きな魅力だ。

そして、終盤は再びノイズモードとなった。新譜『Fade』の冒頭を飾る『Ohm』はライヴの場で大化けし、更にノイジーでヘヴィーに仕上がっている。後半、アイラはフロア最前のオーディエンスに自分のギターを預け、少しの間弾かせていた。そして、本編ラストは『I Heard You Looking』。延々と繰り広げられるインプロヴィゼーションの嵐は、20分くらいに渡っていたのではないだろうか。

アンコールはフロア最前の客に求めたリクエスト曲で始まり、ラスト2曲はジョージアがヴォーカルを取った。こうしてあっという間に2時間が過ぎ去り、全てが終わった。

セットリスト
Pass Me The Hatchet I Think I'm The Goodkind
Paddle Forward
Super Kiwi
The Point of It
Little Eyes
Stockholm Syndrome
Moby Octopad
If It's True
Cornelia and Jane
Did I Tell You
I'll Be Around
Before We Run
Cherry Chapstick
Drug Test
Ohm
I Heard You Looking

Encore:
Season of the Shark
Prisoners of Rock 'n' Roll (Neil Young cover)
Hanky Panky Nohow (John Cale cover)
What Can I Say

来日は去年のフジロック以来で、グリーンステージでいいライヴを見せてくれた。ただ、1時間と枠が決まっていたため、少し物足りなさが残り、単独再来日公演が待ち遠しかった。中堅どころと思っていたが、実は今年結成30年を迎える、言わば超ベテランの域に達している不動の3ピースだ。幾多のバンドが解散や活動停止などの壁にぶち当たっているが、このバンドに関してはそんな気配などまるでなく、これからも実験精神を以て音を鳴らしてくれるに違いない。

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スウェードだけでなく、ヨ・ラ・テンゴも現在来日中だ。といっても、スウェード来日が決まったのは4月だが、ヨラテンは半年前の去年12月に発表されている。公演は昨夜の大阪から始まっており、今夜は名古屋。ワタシは、明日の東京公演に行く予定だ。

キャリアの長いバンドで、ファーストアルバムがリリースされたのは1984年だ。しかし、ワタシが入って行ったのは比較的最近になる。これまでライヴを観たのは3度で、初回は2005年にラフォーレミュージアム六本木で行われたコンセプチュアルなライヴ、2度目は2009年にステラボールで行われた単独、そして3度目が去年のフジロックだ。正直言って、今のワタシはまだこのバンドに追い付けていない。

スリーピース構成で、時にシンプル、時にほのぼの、時にノイジー、と、いろいろな「顔」を持っている。源流にあるのはヴェルヴェット・アンダーグラウンドで、「冷たい狂気」のような雰囲気を漂わせるときが、ワタシは最も好きだ。ソニック・ユースが分解してしまった今、アメリカ東海岸のインディペンデントなスタンスのロックバンドとしては、貴重な存在になると思っている。

去年12月に行われたフルライヴが、なんと無料DL配信されている。この音源に浸りつつ、公演を楽しみにしている。

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スウェード(Suede)@EX Theater

公演日が平日で公演発表が先月ということもあってか、客入りは必ずしも芳しくはなかった。1階フロア後方は、柵を立てて人を入れないようにしていたし。しかし、ライヴはいつも通りに素晴らしかった。

ほぼ定刻にSEがしばらく流れ、そのまま客電が落ちる。メンバーがゆっくりと登場してそれぞれ持ち場につく。最後に現れたのが、ブレット・アンダーソンだ。今回のライヴはセカンドアルバム『Dog Man Star』全曲ライヴで、その冒頭である『Introducing The Band』で幕開けだ。

アルバム全曲を曲順もそのままに演奏するということで、妙な緊張感が漂う。独特のアレンジもインプロヴィゼーションも、特にはない。『We Are the Pigs』こそブレットはエモーショナルだったが、続く『Heroine』はしっとりめに歌い上げていた。

メンバー配置は、前方中央にブレット、向かって右にギターのリチャード・オークス、後方中央にドラムのサイモン、その左にベースのマット、キーボードのニールはコーラスも担い、また曲によりギターを弾いていた。5人全員、黒を基調とした衣装だ。そして、『The Wild Ones』に差し掛かったときに、後方に女性8人がお目見え。バイオリンなどのストリングス隊で、全員日本人だった。

ここからがまさに全曲ライヴの本領発揮で、生バンドとストリングスとのコラボレートによって荘厳なる雰囲気が漂い、ブレットの情熱的なヴォーカルが一層引き立てられている。照明は全体的に暗めで、時折ブレットやリチャードにピンスポットが当たるという具合だ。メンバーの姿があまりよく見えない代わりに、アルバムの空気感が構築されているように思え、むしろ演出効果があがった格好だ。

個人的にスウェードのベストソングである『New Generation』も、曲順に沿い前半で早々に披露され、ココはさすがにエモーショナルなモードになった(ストリングスはこのとき捌けていた)。しかし続いてまた荘厳モードへとシフト。コンセプチュアルなライヴはこのように進められるものと妙に納得。

終盤で、再びストリングス隊が復帰。ラストの『Still Life』ではリチャードのソロとストリングスの演奏力が映え、これで本編が終わった。

そして、通常モードのアンコール。『Killing Of A Flashboy』を経て、『Trash』で場内が弾けた。ブレットの「Sing it!」も、それに応えて歌うオーディエンスも、今や恒例と化していて慣れたものである。『Can't Get Enough』『She's In Fashion』と、4作目『Head Music』からの曲がフィーチャーされているのも嬉しいところだ。特に後者はリズム隊が捌けていて、リチャードとニールがセミアコを弾く、「聴かせる」バージョンだった。

終盤は『So Young』『Metal Micky』とファーストに立ち返り、そしてオーラスは去年もそうだったように『Beautiful Ones』だ。これで終わりという曲調ではなく、これからもライヴが続いていくかのような曲調に思え、これが現在の彼らのスタンスを表しているように思えた。

【Dog Man Star】
Introducing the Band
We Are the Pigs
Heroine
The Wild Ones
Daddy's Speeding
The Power
New Generation
This Hollywood Life
The 2 of Us
Black or Blue
The Asphalt World
Still Life

【Encore:】
Killing Of A Flashboy
Trash
Animal Nitrate
Can't Get Enough
She's In Fashion
The Drowners
So Young
Metal Mickey
Beautiful Ones

全曲ライヴという試みは、まるでクラシック音楽の演奏会のように、CDで聴いていてあらかじめ先の展開がわかっている心持ちでクライマックスを待つ、という味わい方が醍醐味になっていると思う。それと同時に、今回披露された『Dog Man Star』全曲のうちの過半数は、このツアーが終わってしまえば今後演奏されることはなくなってしまうと思われる。増してや、これが彼らの本国だけでなく、ここ日本でも実現されたことが、たまらなく嬉しい。これらのことをつらつら考えれば、とても貴重なライヴに立ち会えたと、終演後の余韻に浸っている。

ここのところ4年続けて来日してくれていて、にもかかわらず、またもやブレットは「See you soon」と言っていた。次回はさすがに「soon」でなくてもいいので(笑)、また充実した勇姿を私たちの前に見せてほしい。

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スウェードが現在来日中だ。4日にはJapan Jamに出演し、今夜は大阪で公演が行われた。ワタシは、明日の東京公演に行く予定だ。

サマソニ、ナノムゲン、単独、そして今年と、なんと4年連続で来日が実現している。ワタシはいずれも足を運んでいるが、その都度ライヴの出来がよくなっているように思う。かつては袋小路に迷い込んで解散してしまったが、再結成後はまずライヴで足場を固め、そして去年はついに新作もリリース。バンドは、第2の絶頂期を迎えていると思う。

そして更に、今夜と明日の公演はスペシャルなものになる。今年はセカンドアルバム『Dog Man Star』リリース20周年にあたり、本国イギリスでは本編でアルバム全曲再現、アンコールでベストヒットという構成でライヴを行っていた。そして、これが日本でも実現。こうしたコンセプチュアルなライヴは、欧米では実現しても日本は飛ばされるケースが少なくないので、とにかく嬉しい。

『Dog Man Star』は、制作中にバーナード・バトラーが脱退するという衝撃があり、混沌とした中で生み出された。バンド内が組み変わる時期の記録であり、初期とその後の両方の要素を併せ持つ、ある意味最もスウェードらしい作品とも言える。ローリング・ストーンズにとっての『Let It Bleed』がそうだったように。

というわけで、明日の夜を楽しみにしている。今夜の大阪公演のセットリストは以下。

【Dog Man Star】
Introducing the Band
We Are the Pigs
Heroine
The Wild Ones
Daddy's Speeding
The Power
New Generation
This Hollywood Life
The 2 of Us
Black or Blue
The Asphalt World
Still Life

【Encore:】
Killing of a Flashboy
My Dark Star
The Living Dead
Everything Will Flow
So Young
Metal Mickey
Trash
Beautiful Ones

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ボストン

ジェフ・ベックのライヴを観終えて会場を出る間際、来日の報が。

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ジェフ・ベック(Jeff Beck)@東京ドームシティホール 2014年4月9日

個人的に4年ぶりとなるジェフ・ベックのライヴ。会場は、4年前と同じ東京ドームシティホールになった。この日は撮影カメラが入っていて、後日CSかBSで放送されるかもしれない。

定刻を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、バンドメンバー3人による演奏がスタート。ヘヴィーで重厚感に溢れるサウンドは、これまでの来日公演とは様相が異なることを痛感させてくれる。そして、最後にジェフ・ベックが登場し、演奏に加わった。新曲『Loaded』だ。ジェフは、なんとテレキャスターを弾いていた。

続くも新曲『Nine』で、ここでジェフはストラトキャスターに交換。しかしこの人、見た目がぜんぜん変わらない。薄いブルーのパンツに黒のベスト姿で、つまり両腕をむき出しにしている。とても69歳とは思えない。ジミ・ヘンドリックスのカヴァーでインストの『Little Wing』はラウドにかき鳴らし、エリック・クラプトンのブルージーでエモーショナルな解釈と対比しながら楽しませてもらった。

バンドメンバーの配置は、ステージ向かって右から左に、ギターのニコラス・マイアー、黒人ドラマーのジョナサン・ジョセフ、ベースのロンダ・スミス。ジョセフとロンダは後方に構えていて、前方中央から向かって左はがら空きになっている。ココは、ジェフがギターを弾きながらも目一杯歩き回るスペースだ。

ニコラスは曲毎にギターを変え、演奏はほぼジェフを見ながらだ。リズムに徹する忠実な従者ぶりを発揮しつつ、時折ジェフのギターにも重ねてくる。「さくら」のフレーズを弾いたりもして、小回りがきく。ジョナサンはパワー型ドラマーで、重く太いビートを弾き出し、これがジェフのギターと意外に相性がいい。ロンダは前回2010年のメンバーでもあるが、シャドウの入ったメガネをかけてクールにプレイしていた。

メンバーはみな腕利きばかりだが、しかし主役はもちろんジェフでありジェフのギターだ。ピックを使わない指弾きでギターを巧みに操り、まるでギターが自分の体の一部であるかのようだ。普段の立ち位置は中央だが、エフェクターは向かって左にあるらしく、弾きながら、あるいは次の曲に移る前に調整していた。

サングラスをかけていて一見クールそうなジェフだが、仕草は結構お茶目だ。『Angel(Footsteps)』ではスライドバーを使って細かい金属音を発していたのだが、曲が終わると、なんと客席にスライドバーを投げ入れていた。『Where Were You』では、イントロのリフで場内が沸き立つとそこでストップし、これからだよといったような手振りを見せてから再度弾き始めた。

中盤のハイライトは、『Goodbye Pork Pie Hat』からメドレーでの『Brush With The Blues』へとなだれ込んだところだろうか。後者は、『Who Else!』リリース以降ライヴのマストソングになった気がしていて、本人が余程気に入っているのだろうか。

『Blue Wind』のイントロが流れると、ライヴが終盤に差し掛かったことを実感する。そして今回は『Led Boots』と立て続けだったので、『Wired』ワールドをしばし堪能した。本編ラストは、『Big Block』『A Day In The Life』という、この人の定番ナンバーだ。

アンコールは、まずは『Rollin' And Tumblin』。いちおうロンダがヴォーカルを担うのだが、「ウォウウォウ」を客にも歌わせるための先導役だ。このアレンジにしたことで、アルバム『You Had It Coming』収録のバージョンよりも、原曲に少し近い雰囲気になった気がする。

そして、ジェフの代表曲『Cause We’ve Ended As Lovers/哀しみの恋人達』だ。これをやったらもう終わりかと思ったのだが、メンバー紹介するジェフを横目に、ロンダはスティックからエレキベースへと持ち替えていて、こりゃもう1曲あるなと思った。オーラスは、新曲の『Why Give It Away』だった。

セットリスト
1. Loaded
2. Nine
3. Little Wing
4. You Know,You Know
5. Hammerhead
6. Angel (Footsteps)
7. Stratus
8. Yemin
9. Where Were You
10. The Pump
11. Goodbye Pork Pie Hat / Brush With The Blues
12. You Never Know
13. Danny Boy
14. Blue Wind
15. Led Boots
16. Corpus Christi Carol
17. Big Block
18. A Day In The Life
アンコール
19. Rollin' And Tumblin'
20. Cause We've Ended As Lovers
21. Why Give It Away

ワタシにとってのこのライヴのハイライトは、新曲を畳み掛けてきた序盤だった。見た目の若々しさは相変わらずだが、リリースしている作品はここ数年はライヴアルバムが多く、オリジナルでは最新作の『Emotion And Commotion』はオーケストラの導入があったりで、もうこの人から「攻め」の曲が生み出されることはないのではと思っていたところだった。

そこへ来て、出だしからガンガンに攻めてきたものだから、こちらとしてはたまったものではない。今回、来日に際して3曲入りのミニアルバムがリリースされたが、近いうちにオリジナルのフルアルバムがリリースされるかもしれない。老いるどころか、まだまだこの人は現役だ。

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ジェフ・ベックの4年ぶりとなる来日公演が、4日から始まっている。ワタシは、9日の東京ドームシティホールの公演に行く予定だ。

去年から今年にかけて超大物アーティストの来日が続いていて、しかも、ポール・マッカートニーやミック・ジャガー、ボブ・ディランらは70歳を越えている。ジェフ・ベックはもう少し若いだろうと思いつつ調べたら、なんと現在69歳!6月の誕生日で70歳を迎えることになる。年齢のことはこれまでの来日でも気にしてきたが、こんなカッコいい69歳はどこにいる?と思ってしまう。

この人のバンドメンバーは固定ではなく、来日するたびに入れ替わっている。前回は、ドラムが「浅ヤン」にも出ていたナラダ・マイケル・ウォルデンだった。2009年は若き腕利き女性ベーシストのタル・ウィルケンフェルドが、2005年には『Flash』にゲスト参加していたジミー・ホールが、それぞれ帯同していた。

ギタリストは、ワタシの記憶違いでなければ、99年にジェニファー・バトンが帯同して以降はジェフひとりだったが、今回久しぶりにニコラス・マイアーという人が加わっていて、久々にツインギターになる。リードギターはジェフと決まっていると思われるが、この人のリズムギターのサポートぶりにも注目したい。また、今回はヴァイオリニストもいるそうだ。

ボブ・ディランと来日時期が重なり、どこかで共演が実現してもよさそうなものだが、日程を見ると実現しそうで実現しない、すれ違いの日程になっている。もしどちらかが飛び入りでもすれば、それこそ世界的なニュースになるのだが、なんだかもったいない。

というわけで、早くディランモードから脱し(笑)、ジェフ・ベックモードに切り替えてライヴに臨みます。

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ブラー(Blur)@日本武道館 2014年1月14日

前日のZepp Divercity公演の興奮も醒めあらぬ中、この日は彼らの本来のキャパシティーといっていい武道館での公演だ。ワタシの席は2階西の上から数えた方が早い列で、ステージを真横に見る形に。結構新鮮だ。

前日と同様、定刻を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、メンバーがゆっくりと登場。場内のどよめきはやはりハンパではなく、騒ぎが収まる前に『Girls And Boys』が始まった。と、デーモン、Zepp Divercityに続き、まさかの放水。武道館はステージと客席との間に結構スペースあるし、椅子席の客は軽装ではない人が大半のはず。なのに、巻いていた。

ステージセットは、武道館にもかかわらずシンプルだ。強いて言えばライティングが強化され、バックドロップに大きな高速道路の高架下らしき写真が飾られているくらい。メンバーのいでたちも、衣装というよりカジュアルな普段着だ。

ワタシは、2日ともステージ向かって左側、つまり「グレアム側」だった。だからというわけではないが、2日ともグレアムを中心に観ていた。グレアムはほぼ1〜2曲毎にギターを替えていて、プラグの抜き差しとエフェクターのチューニングも手早く行っていた。グレアムのマイクスタンドの手前には、4列くらいのエフェクターが配置されていた。

使いこなしたギターは、何本あっただろう。ブラッキー、ギブソンSG、マーティン、ジャズマスター、ストラトキャスターなど。時折頭上に掲げて頭で弾いてもいたが、ほとんどの場合ド派手なアクションも華麗な指使いもなく、さりげなく弾いていた。それでいて、音はノイジーなことが多く、これがブラーのポップな世界観をいい意味で崩している。決して統制のとれた演奏ではなく、引っ掻き回している急先鋒にいるのがグレアムだ。

バンドのパブリックイメージの中心にいるのは間違いなくデーモンだが、しかし、このグレアムの存在こそが、音楽的には重要なのだと思った。演奏は、大半がグレアムのギターリフによって始まった。現在、多くのバンドがドラマーのスティックによるカウントで始まるのを飽きるくらい見ている中、グレアムがほぼ毎回口火を切るのは、見ていて痛快ですらあった。そして、やはり、ブラーにはこの人が必要なのだ。

セットリストはさすがにZeppと同じではなく、それどころか3曲も足してきた。『Young And Lovery』『No Distance Left To Run』『Death Of A Party』と、結構レア度が高い。そして、『13』色がまた少し強まった。昨年からのブラーのツアーは、「問題作」とされている『13』をライヴの場で再構築できるかに挑んでいるようにも見える。

『Counrty House』では、デーモンはステージを降りて最前列の前の柵を歩きながらタッチしてまわり、場内はちょっとした騒ぎになる。セキュリティーにステージに戻されたときにはひっくり返っていて、そしてそのまま歌っていた(笑)。

『Parklife』では、映画「さらば青春の光」の主人公役だったフィル・ダニエルズが登場。公開から30年以上経っているので、悩める若者もさすがに年を食っているが、おどけた素振りでステージ上を動き回りながらシャウトするその姿は、どこか愛らしい。ブラーのメンバーも、そんなフィルに微笑みながら演奏している。ちなみにフィルは、この後ステージの袖に留まってライヴを観ていた。

本編を『End Of A Century』『This Is A Low』で締めくくり、アンコールは日本にちなんだ曲、『Yuko And Hiro』を。新曲『Under The Westway』は、ポップというよりスケール感を表現したタイプの曲だ。ワタシにとってベストブラーソング『For Tommorrow』(今回はデーモンとちらなかった/笑)、『The Universal』を経て、いよいよオーラスへ。

『Song 2』のイントロが延々引っ張られる中、デーモンがグレアムのところに歩み寄り、ハグ。この10年の間にブラーに起こったことを思えば、なんて感動的な場面なのだろう。デーモンはこの後アレックスやデイヴともハグし、そしていよいよ歌がスタート!「ウーフー」の大合唱も繰り返され、そして、すべてが、終わった。

セットリスト

Girls And Boys
There's No Other Way
Beetlebum
Young And Lovely
Out of Time
Trimm Trabb
Caramel
Coffee & TV
No Distance Left to Run
Tender
To the End
Country House
Parklife(with Phil Daniels)
End of a Century
Death of a Party
This Is a Low
Encore:
Yuko And Hiro
Under the Westway
For Tomorrow
The Universal
Song 2

さて、ブラーの今後はいったいどうなるのか。当初予定されていたオーストラリアのフェス、ビッグ・デイ・アウトはキャンセルとなり、公式サイトにもこれといった予定は掲載されていない。グレアム復帰以降、新曲の制作はあったが、アルバムのリリースまでには至っていない。がしかし、ぜひとも『13』以来となる4人ブラーでの新作を世に出してほしいものだ。


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ブラー(Blur)@Zepp Divercity 2014年1月13日

11年ぶりの来日、そして個人的には、99年フジロック以来14年半ぶりのブラー。待ちに待ったという表現が、これほどまでにふさわしい瞬間など、ほかにあるだろうか。もうすぐ観られるんだという喜びを噛み締めながら開演を待ったが、その時間も短く感じられた。

定刻を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、メンバーがゆっくりと登場。Gジャン姿のデーモン・アルバーンがフロアを煽ったかと思うと、『Girls And Boys』のイントロがかかり、これだけで早くも場内は尋常ではない騒ぎに。演奏が始まると、その騒ぎには更にギアが入り、最早沸点に達した状態。このとき、この瞬間を、みんな待っていた!

続いては、小気味いいテンポの『There's No Other Way』から『Beetlebum』『Out Of Time』となり、熱狂は依然持続。デーモンはステージ上を右に左にと動き回り、フロア最前に詰めているオーディエンスとタッチを交わし、そしてペットボトルの水を放水しまくり。向かって右はベースのアレックス、デーモンの真後ろにはドラムのデイヴが陣取り、それぞれリズムを刻む。2人の間には、サポートのキーボードがいた。

そして、向かって左にいるのがギターのグレアム・コクソンだ。来日は2003年サマソニ以来だが、当時グレアムは脱退していて、3人ブラーだった。復帰したのは2009年だが、この間この人はソロ活動に精力的で、2度来日も果たしている。この人がデーモンらと同じステージに再び立っているという事実だけで、なんだかじぃんとしてしまうのだ。

セットリストはベストヒットに終始するのかと思いきや、なんと問題作『13』の、それも実験的な後半部の曲『Trimm Trabb』『Caramel』ときたのでびっくり。帰宅後調べたら昨年秋の南米ツアーもこのセットだったので、奇をてらったわけでもないようだ。しかし、この後『Coffee And TV』『Tender』という、『13』の中でもポップな曲へとシフトしたので、やっぱりこちらの方がブラーらしいと思ってしまう。

サポートは、キーボードのほか曲によって3人のコーラスと3人のホーンセクションが出入りしていた。『To The End』では天井のミラーボールが妖しく光り、『Country House』ではデーモンがよもやのダイブ!格好はカジュアルだし、スター然としたところもなく、見た目こそ年とったなと思いはするが、そのスタンスは若い頃とあまり変わっていないのではないだろうか。

この後『Parklife』となるのだが、まさかまさかのフィル・ダニエルズ登場。ワタシは最初本人と思わず、ローディーの人がフィルの代役をこなしていたものと思ってしまった。フィル、このためだけにブラーに帯同し日本に来てくれたのか。。。

本編は『End Of A Century』『This Is A Low』という、スケール感溢れる2曲で締めくくった。そしてアンコール、デーモンが「this song ... about Japan...」と言い、『Yuko And Hiro』を。この曲はもちろん南米ツアーでは演奏されず、まさに日本オンリー(当たり前か)。続くは、デーモンがキーボードを弾きながら歌う新曲『Under The Westway』。そして・・・。

デーモンがアコギをかきならして歌い始める『For Tomorrow』だが、他のメンバーの準備がまだだったのか、いったん中止し、バツが悪そうにMCでつなぎ(笑)、そしてやり直していた。そんなことはあったが、この曲が聴けてほんとうによかった。今回初期の曲は極端に少なく、セカンド『Modern Life Is Rubbish』からはこれだけだったからだ。個人的には、ブラーをはじめて観たのがこのツアーで、まだワタシにとってのベストフェイバリットアルバムは今でもこれなので、頭の中が一瞬21年前の1993年にタイムスリップした。

この後の『The Universal』で終わっても不思議はなかったが、デイヴが刻むビートにより、場内は「あの曲」がオーラスになると理解した。イントロは引っ張りに引っ張られ、そこへグレアムが適度にカッティングを入れてきて、やがて『Song 2』のイントロへとシフトする。場内は何度となく「ウーフー」を繰り返し、そしてデーモンの歌い出しが合図になり、フロアはこの日何度めかの沸点に達した。

音は割れまくりだったったし、演奏もパーフェクトとはいえなかった。しかしそれでも、この場にいることができた幸福感が、そうしたちっぽけな不満をあっさり上書きしてしまう。だって、ハイドパークで5万人を歌わせ踊らせた、押しも押されもしないバンドを、ライヴハウスで観られたんだから。

セットリスト
Girls And Boys
There's No Other Way
Beetlebum
Out of Time
Trimm Trabb
Caramel
Coffee And TV
Tender
To the End
Country House
Parklife(with Phil Daniels)
End of a Century
This Is a Low
Encore:
Yuko And Hiro
Under the Westway
For Tomorrow
The Universal
Song 2

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Blur@武道館セットリスト

さすがにZepp Divercity公演と内容を変えてきて、なんと3曲もプラスされた。オーラス『Song 2』の直前、デーモンがグレアム〜アレックス〜デイヴの順にハグしていて、なんだか感動。

レポートは別途。写真は、ネットから拝借したセットリスト。右側の手書きは、恐らくグレアムのギターの種類だと思う。ブラッキー、ジャズマスター、SG、ストラト・・・。

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