モグワイ(Mogwai)『Special Moves/Burning』

モグワイのライヴCD/DVDを聴いて、観た。以下は、DVDを中心に書く。

ライヴは、2009年4月にニューヨークのライヴハウスで3日間行われた中から編集されている。画面は全てモノクロ。カメラは演奏中のステージ上のバンドに焦点を当て、たまにスタンディングのフロアが映るという具合だ。

曲間に、ニューヨーク市街を歩くメンバーのショットなどが入ってきて、つまり、純然たるライヴ映像というよりは、ドキュメンタリーの側面も備えている。制作には、アーケイド・ファイア『Miroir Noir』を手掛けた人が関わっているとのことで、そういえば映像のアプローチが似ているなと納得。

セットリストは、この時点での彼らのベストと思える内容。CDとDVDでは収録曲が微妙に異なっていて、曲数はCDの方が少し多い。前半の『I'm Jim Morrison,I'm Dead』『Hunted By A Freak』という固め撃ちは、ほぼ完璧だ。CDではこの後必殺の『Mogwai Fear Saturn』となるのだがが、DVDではなぜかボーナス扱いになっているのがちょっぴり残念。

バンドのライヴにおける魅力をダイレクトに伝える映像とは言いにくいが、映像作品としてはこれはこれでアリと思わせてくれる。でも、次のライヴ映像はぜひシンプルにステージを捉えたものにしてほしいな。

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Blur『Think Tank』

以前スカパーから録画していた、ブラーの2003年フランス公演の映像を観た。グレアム・コクソン脱退後にリリースした、アルバム『Think Tank』に伴うツアーだ。

オープニングは、そのアルバムのトップでもある『Ambulance』。前作『13』の後半部を継承したような、ポップさを廃し音楽志向を伺わせる曲調だ。しかし、続いては『Beetlebum』『Girls And Boys』とシングルナンバーを揃えてきて、極端になりすぎずバランスを保っているのがブラーらしい。

グレアム不在ということで、今になって観てみるといろいろな意味で面白い。サポートのギタリストは、元ヴァーヴのサイモン・トングだった。サイモンは、この後デーモン・アルバーンがポール・シムノンらと組んだ、「ザ・グッド、ザ・バッド・アンド・ザ・クィーン」にも参加している。

デーモンはMCでサイモンを紹介すると共にグレアムについても触れ、仲違いしたわけではなく、また戻ってくるかもしれないと言っていたのに驚いた。当時、デーモンとグレアムはもろに対立していて、両者の言い分もまるで食い違っているように見えていたからだ。グレアムが復帰するのは、この6年後の2009年だ。

特に興味深かったのが『Tender』だ。ほとんどのメロディーをデーモンが歌うが、最後の「Oh my baby ~」というフレーズはグレアムが歌っていた。それが、ここではコーラスのひとりの黒人に加え、なんとドラムのデイヴが担っていたのだ。

会場は、日本だとZeppクラスと思われるライヴハウスで、1階はスタンディングで、後方上部にはバルコニー席があった。前列を占めるのは女性ファンで、デーモンはペットボトルから放水。つい最近の来日公演でも観た光景だ(笑)。スーツ姿ながら、曲によってはステージを降りてフロアに突入したりと、やっていることはその前やその後ともあまり変わっていない。

日付は2003年5月19日で、日程的にはこの後日本に飛んで31日に赤坂ブリッツで一夜限りの公演を行い、そして8月にサマーソニックで再来日して、マリンステージノヘッドライナーをこなしている。

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Blur『Blur 21 Box Set』

18枚のCD編に続き、ブラー集大成ボックス『Blur 21 Box Set』のDVDについて。こちらは3枚だ。

『Showtime : Live At Alexandra Palace』
94年10月、ロンドンのライヴハウス公演を収めたライヴで、もともとはVHSで流通していたが廃盤となり、これが初DVD化。『Parklife』期で、勢いづき上昇気流に乗っているバンドの姿が確認できる。『Modern Life Is Rubbish』から、結構演奏されているのが嬉しい。

『The Singles Night : Live At Wembley Arena』
99年12月11日、ウェンブリーアリーナで行われたライヴ。セットリストは文字通りシングルの固め撃ちで、聴けばすぐわかるヒット曲ばかり。バンドが円熟期に差し掛かったことが伺える。2000年にリリースされた、『The Best Of』の初回盤に収められているライヴディスクの映像版になっているはずだ。

『Live 13 & Bonus Footage』
『Live 13』は、99年3月の『13』リリースに伴うスタジオライヴ。ほぼ1曲毎にメンバー4人のコメントが入るドキュメンタリー形式で、前半は画面がセピア色だったのが、途中からカラーに切り替わっている。ボーナスは、4曲の初公式映像や『Think Tank』期のPVなどを収録。

『Showtime』『Live 13』では、『Parklife』のときにフィル・ダニエルズがゲスト出演している。先の来日公演でもフィルは登場していて、フィルとブラーとは長きに渡って蜜月関係を築けているようだ。

CDとDVD以外では、7インチのシングル(プレーヤーがないので聴けない)、ポスター、ブックレットが同梱。値は張るが、これを持っていればブラーについてはひと通り知ることができる、ありがたいボックスだ。

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Blur『The Best Of (DVD)』

ブラーは2000年に『The Best Of』というまんまのタイトルのベストアルバムをリリースしているが、それにリンクした映像も併せてリリースしている。

シングル曲を中心に、ほぼ年代順にPVが収録。『She's So High』からはじまり、『No Distance Left To Run』で締めくくられている。ワタシが見覚えがあったのは、『Parklife』『Country House』『Song 2』などで、つまり少ない(汗)。その分、新鮮に感じることができ、楽しめたけど。『Girls And Boys』では、日本のニューシネマ蜥蜴というバンドがまんまのPVを作っていたことを思い出す。

単に演奏シーンを収録しただけというのは少なく、なにがしかのコンセプトが持ち込まれているPVが豊富なことに気づかされる。クラシックな街並みやレンガ造りの建物など、ロンドン/イギリスを感じさせる風景も確認できるのは、嬉しいところだ。

中でも出色の出来と思うのが、グレアム・コクソンがはじめてリードヴォーカルを取った『Coffee And TV』のPVだ。手足があり、くりっとした目玉のついた牛乳パックが人間界の中を小旅行しているようで、後のコーネリアスの『Fit Song』にテイストが近い気がする。というより、こちらが先取りしているのだ。




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Blur『All The People Blur Live In Hyde Park』

ブラーが2009年にイギリスのハイドパークで行ったライヴの映像を観た。この公演はCDはリリースされているが、映像の公式リリースはない(と思う)。2012年のロンドンオリンピックの際にもブラーはハイドパークでライヴを行い、そちらはDVD化されている。今回のは、たぶんイギリスの放送局が収録したのを、日本のテレビ局が買い取って放送したのだろう。

映像は、メンバー4人がステージ袖から飛び出していくところから始まり、ファーストアルバム『Leisure』の1曲目『She's So High』にてスタート。ハイドパークはつまりだだっぴろい公園で、5万5千とも言われるオーディエンスが集結。そして、大半の曲で大合唱だ。ゼロ年代のブラーは2003年に『Think Tank』をリリースしツアーしたくらいで、あとはグレアム・コクソンの脱退と復帰騒ぎがあり、コンスタントに活動していたとは言い難い。しかしそれでも、ファンがブラーを待ち、愛していたのだというのが伝わってくる。

セットリストは、当然ながらキャリア横断的なベストヒットとなる。演奏はバンド4人のほか、コーラスやホーンセクションなども引き連れていて、まるでローリング・ストーンズのようだ。グレアムのギターのリフではじまる曲が結構あって、ある時期3人体制で活動してはいたものの、やはりこの人が必要なのだと思わされる。

『Park Life』では、映画『さらば青春の光』に主演したフィル・ダニエルズがゲストとして登場。映画のイメージが頭にあると、現在の年取ったこの人のギャップに驚いてしまう。それはメンバー4人も同じで、仕方のないこととはいえ、ドラムのデイヴとフロントマンのデーモン・アルバーンの老けっぷりはちょっときつい。うーん、でもまあ、それでも復活し頑張っているだけまだいいか。

夏場は日が長いイギリス独特の気候で、ライヴ開始時はまだ明るかったのが、後半になる頃にはすっかり夜の景色に彩られる。デーモンがアコギを弾きながら歌う『For Tomorrow』を経て、オーラスは『The Universal』。ステージは見事に締めくくられている。



【追記】
2009年のハイドパーク公演も、DVD化されていた。『NO DISTANCE LEFT TO RUN』というタイトルで。同名で内容の違うDVDもある。ややこしい。。。

Blur『NO DISTANCE LEFT TO RUN』


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Elvis Costello & The Imposters『Live In Memphis』

エルヴィス・コステロが2004年にアメリカのメンフィスで行ったライヴのDVDを観た。

冒頭からいきなり『Waiting For The End Of The World 』『Radio Radio』とエンジン全開だが、セットリストは当時の新譜『The Delivery Man』からの曲を軸としている。中盤では、『The Delivery Man』にも参加しているエミルー・ハリスがゲスト出演。コステロおよびインポスターズと、カントリーロックをこなす。エミルーは、なぜかチャイナドレス姿だ。

会場はキャパシティー約250とされるライヴハウスで、言ってみれば渋谷クラブクアトロよりも更に狭いところで、そして激近で、オーディエンスは極上のライヴを堪能していることになる。もちろんコステロは手抜きなどするはずがなく、いつもの熱量を以てギターをかきならし、熱唱している。

ボーナス映像では、地元のラジオ番組でライヴを告知し、それを聞き付けたファンたちが列をなしてチケットを入手せんとする光景があり、観ていて痛快だ。また、ミシシッピー川周辺をクルマで走りながら、車中にてコステロがいろいろコメントする映像も面白い。街並みを眺めて思いを綴りつつ、ビートルズゆかりの地を訪ねてリバプールまで来る日本人もいる、とも言っていた。

メンフィスはブルースが生まれた地とされ、またエルヴィス・プレスリーが住んでいた地でもあり、かつてU2も目指したように、ブルースに傾倒するアーティストなら、アメリカ人ならずとも一度は訪れたい「約束の地」なのかもしれない。なんと言っても、コステロの「エルヴィス」という芸名はプレスリーからとっているのだから。

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Elvis Costello & The Imposters『Return of the Spectacular Spinning Songbook』

エルヴィス・コステロが2011年5月にロサンゼルスで行ったライヴを収録した作品があり、聴いて、観た。

出だしの数曲こそ通常のライヴ風だが、実は女性ダンサーが踊るなど、ショウとしての色を出している。そして極めつけは、ステージ上にコステロの曲名が書かれた巨大なルーレットがセッティングされていることだ。

コステロはナポレオン・ダイナマイトを名乗り、観客席から選ばれたオーディエンスがステージに上がってルーレットを回し、止まったところの曲を演奏するという趣向だ。このパッケージ、ジャケットにルーレットが描かれ、CDとDVDの盤もピクチャーディスクでルーレットがプリントされている。

ライヴにおけるコステロは、いちおうセットリストを決めているらしいが、特にアンコールのときなどその場のノリと勢いでリストとは異なる曲をメドレー形式で演奏することもある。今回は、ルーレットが回っている間、果たしてどの曲に当たるのか、演奏してくれるのか・・・という、じらされ感とどきどき感が入り交じる。

バックを務めるは、盟友インポスターズ。特にこのライヴでは、キーボードのスティーヴ・ナイーヴが何度もテルミンを操って電子音を発していた。ギターはコステロひとり。曲によってはバングルスがゲストとしてステージに姿を見せて歌やコーラスをこなし、花を添えた。

ロックバンド風でもありつつ、大人の鑑賞にも耐えうるしっとりとした曲も歌い上げ、と、奥が深い。そして何より、客にルーレットを回させ、その客は自分が選んだ曲の演奏中にステージにとどまって踊ったりカクテルを飲んだりできるという、言わばオーディエンス参加型のライヴになっているのがとてもユニークだ。

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メタリカ スルー・ザ・ネヴァー(Metallica Through The Never)

メタリカのIMAX3D映画のタイトル『スルー・ザ・ネヴァー(Metallica Through The Never)』は、91年にリリースした、通称ブラックアルバムに収録されている曲から引用されて名付けられたものだ。しかし、なぜかこの曲は劇中では演奏シーンもなく、BGMとして流れることもない。そして、サントラ盤にも未収録だ。なんでだろう?

そしてこの曲、実はもうひとつの側面を持っている。タモリ倶楽部の「空耳アワー」でも紹介された、傑作空耳ソングなのだ。サビのところが、「寿司!」「鳥!」「風呂!」「寝ろ!」と言っているように聞こえる(笑)。 因みにこの箇所、ほんとうの歌詞は「Twisting Turning Through the never」となっている。



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『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー(Metallica Through The Never)』

ねたばれありの映画の感想はコチラ。

トリップが持ち帰ったカバンの中に入っていた「なくてはならないもの」とは、果たして何だったのか。劇中で明かされなかったということは、すなわち、観る側それぞれの解釈に委ねられたのだ。

ワタシは、見終わった直後はカバンの中は空っぽだったのではと考えた。物理的なモノではなく、精神的なことを示唆しているのだと。ただ、その後ずーっと考えて、やっぱり中には何かが入っていたのだと思うようになった。

トラックの荷台でカバンを開けたとき、トリップは明らかに落胆していた。だけど、もし空っぽだったら、暴動のさなかを必死で持ち帰ることはせず、その場に放置すると思うのだ。持ち帰ってきたということは、何かが入っていたのだと思う。ただし、「なくてはならない」とまで形容されるとは思えないものだったのだろう。

トリップが会場にカバンを持ち帰ったとき、場内は無人だった。これを、実はライヴが始まる前とする向きもあるようだ。5年後10年後はそれが定説になっているのかもしれないが、今のワタシは、これはやはりライヴ終了後だったと考える。それも、ライヴ当日の夜ではなく、もしかしたら数日が経過しているのかもしれない。

トリップがステージにカバンを置いて客席に行くと、メタリカの4人がステージに現れて演奏する。他にスタッフの姿もなく、場内にいるのはメタリカの4人とトリップだけだ。ライヴ終了後、打ち上げでビールを飲み明かすでもなく、次のライヴに備えて自分たちの状況を確認するように『Orion』を演奏する4人。それを客席から見つめる、傷だらけになったトリップ。

カバンに入っていたのは・・・、これこそまさに想像になるが、ジェームスがかけていたサングラスとか、メンバーが身に付ける小物類だったのではと思う。他の3人にも同様の何かがあって、それが、真摯に謙虚にひたむきに音楽に向き合う、自らを律するアイテムになっていたのだ。

ライヴの終盤では、トリップがガスマスク男とビルの屋上で対決。ガスマスク男は、マイナスやネガティブなどの要素の象徴だろうか。トリップが杖のようなものをついてガスマスク男が粉々になったとき、その衝撃波はかなり距離のあるライヴ会場にまで伝わり、ステージ機材はばたばたと倒れ、演奏は中断。一瞬、混乱状態になりかける。

しかし、照明のほとんどない暗い中で、ジェームスは、デビューした頃練習していたガレージも暗かったと言いつつ、演奏を再開。そして曲は、ファースト『Kill 'Em All』の冒頭の曲『Hit The Lights』だった。キャリアを重ねてもバンドの軸がぶれず、初心を失っていないことの現れだ。トリップがカバンを持ち帰るのはこれよりかなり後だが、この時点で「なくてはならない」スピリットは、トリップからバンドに届けられたのだ。

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メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー(Metallica Through The Never)

メタリカのツアーにスタッフとして雇われた青年トリップは、ライヴ開始直後に「メタリカのライヴになくてはならないもの」を取りに行くよう指示される。しかしそれを積んだトラックは、暴動が起こり、鎮圧するために機動隊までが動員される、異様な状況の中にあった。

メタリカのライヴと、荒廃した街中に乗り込んでいくトリップとの2つの流れが同時進行で発生し、画面が適時切り替わるという構成になっている。

ライヴは、はっきり言うが圧巻だ。「めざましテレビ」でも取り上げられていたのだが、この映画のためにカナダで5回ライヴを行い、編集されているとのこと。24台の3Dカメラが持ち込まれ、ステージを俯瞰でとらえたかと思えば、可能な限りメンバーに迫ってもいる。

会場は2万人規模と思われるアリーナクラスで、しかし、スタンディングエリアのど真ん中に長大なステージがセットされ、ドラムのラーズ・ウルリッヒ以外の3人はステージ上を忙しく動き回り、全方位のオーディエンスに応えんとしている。ラーズは、マイクこそないがほぼ全曲を歌っていた。

『One』では、射撃を模したレーザー光線が頭上からステージに向かって飛び交い、ステージには炎と煙が舞い上がる。垂れ幕状のスクリーンが降りてきて、そこに戦争の場面。そして、歌と演奏になるという具合だ。『...And Justice For All』のときは、ステージ上に天秤と刀を持ったジャスティス女神が作られるが、しかし演奏の終盤で崩れさってしまう。

ステージはスタンディングエリアを覆い尽くさんばかりの面積で、詰めているファンとの距離の近さがハンパじゃない。IMAX3Dで見ていると、まるで自分のすぐ目の前にメンバーたちがいるような錯覚に陥る瞬間もある。オーディエンスとの一体感がピークに達したのは、『The Memory Remains』のときだろう。ラストは場内大合唱となり、メンバーも歌と演奏をやめて合唱に委ねる。このシーン、鳥肌モノだ。

さて、トリップの方は途中から非現実の様相を呈してくる。やっと「なくてはならないもの」が入ったカバンを手にするも、暴動に巻き込まれかけ、ついには自らガソリンをかぶって立ち向かう。多勢に無勢でぼこぼこにされてしまうが、いつのまにかビルの屋上に。そこで、ガスマスクをつけ馬に乗った屈強の男と対決する。

トリップがカバンを持って会場に戻ると、場内は無人だった。そっとカバンを置いて客席に戻る。ここでエンドロールとなるが、メンバー4人がステージに現れてインストの『Orion』を淡々と演奏。そして、結局カバンの中に入っていた「なくてはならないもの」が何なのかが明らかになることはなく、映画は終わる。

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