CROSSBEAT (クロスビート) 2013年 11月号

もうだいぶ日が経ってしまったが、先月18日発売号を以て、音楽雑誌クロスビートが休刊になった。

少し前に25周年記念号で振り返ったばかりなのに、最終号でも似たようなことをしている。連載コラムも、クロスビートにかかる思い出ばかり。栗原類のコラムが変則的に2件掲載されているのは、ユニークだったけど。

どうせなら、自画自賛や感謝に終始するのではなく、ウラを暴露しまくればよかったのに。あのレコード会社は対応がひどいとか、あのアーティストには振り回されまくったとか、入魂の記事がリアクションさっぱりだったとか、もっとも売れた号と売れなかった号を明らかにするとか。

今でも覚えているのが、BUZZの80年代特集、作り手は張り切ってやったのにぜんぜん売れなかったと、山崎洋一郎が嘆いていたことだ。ほぼ全員が自信を持ちすぎているロッキングオンの、しかもかなり古株の山崎がそんなようなことを言い、しかも活字にしていると、結構インパクトを受けたものだった。

リリー・フランキーのコラムに「休刊した雑誌が復刊することはまずない」と書かれているので、クロスビートが今後復活することはないのだろう。ワタシにとって、喪失感は特にない。ただ、長年読み続けてきた中でコレはすごいと思った記事がいくつかあって、いつか書いてみようと思う。

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おととい、音楽雑誌クロスビート休刊の噂があることを書いたが、今日になってソースを押さえた。クロスビートのTwitterだ。





紙媒体からWebに移行するとのことで、今後も不定期に何かしらの刊行はありそうだ。情報発信が途絶えたわけではなく、発信方法が変わるだけ、と、個人的には割と楽観視している。

雑誌休刊と聞いて、多くの人が思い、ワタシもそう思っているのが、「売れなくなった」からだろう。クロスビートの場合も、予兆はあった。それまでB5サイズだったのがA5サイズに変わったのが、2013年1月号から。それなのに、8月号でまた元のB5に戻った。迷走しているのが見え見えだった。

個人的には、更に前から悪戦苦闘していたと思っている。付録攻勢がそれで、特定アーティストの過去の記事をまとめた小冊子をはさんで発売することが、2〜3年くらい前にされていた。

ワタシは、今回の休刊について、もう見られないという失望感をほとんど感じていない。これまで頑張ってくれたことに、もちろん感謝はしている。しかし、フジロックではフォローしているのが主要3ステージのみだったのを筆頭に、何かにつけて不満の方が多かった記憶がある。

ワタシはクロスビートを毎号買っていたわけではなく、内容を確認して買うに足ると判断したときに買っていた。来月発売される最終号に対しても、そのアプローチは変わらない。

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音楽雑誌「クロスビート」が休刊になるという噂だ。ミュージックライフのメールマガジンに記載されているとのこと。

毎月18日発売だが、今回(10月号)に限ってはフジロックとサマーソニックに対応するため20日(つまり明日)発売となる。一部のタワーレコードでは、既に入荷されているようだ。ワタシはオンラインで頼んでいる。10月号にも休刊について何かしら触れられているかもしれないので、届き次第記事ともども見てみようと思う。

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ロック・ギタリスト伝説 (アスキー新書)

音楽評論家萩原健太が、23人のロックギタリストについて書いた本を読んだ。

取り上げているのは60年代から80年代のギタリストで、ジミヘン、三大ギタリスト、サンタナ、デュアン・オールマンといった、「いかにも」という人たち。チャック・ベリーやB.B.キングといったレジェンド。ポール・マッカートニーやニール・ヤングなど、ギタリストというよりシンガーソングライターのイメージが強い人。などだ。

取り上げるアーティストによって、内容は微妙に異なっている。その人のアンソロジーにとどまる場合もあれば、日本との関連や自らの思い出の披露など。高校の頃、学年にはエリック・クラプトン(をコピーする人)が3人、ジェフ・ベックが1人、リッチー・ブラックモアが5人いたという話、笑える。

アーティストによっては、リフやコード進行などのテクニック面にまで言及している。萩原健太は音楽評論家という職業柄、語ること書くことのイメージが強いが、実はギターをガンガンに弾く人でもある。ワタシがそれを知ったのは、BS音盤夜話で自らギターを弾いて解説しているのを見たからで、だからこの本を手にしたとも言える。

楽器関連の本は教本が圧倒的に多く、ギターを弾かないワタシにとってはかなり敷居が高い。柔らかくわかりやすくギターについて語っている本を、ずっと探していた。

文中、萩原自ら認めているが、90年代以降のアーティストは範囲外としている。なので、その辺りの本が今後出てくればなあと思う。トム・モレロやジョン・フルシャンテ、ノエル・ギャラガー、ジョニー・グリーンウッドなどのテクニックに言及した本も、いずれ出てきてほしい。

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マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン Loveless

マイブラのヒストリー本を読んだ。メンバーや関係者に取材しコメントを取ってはいるが、公式バイオ本ではないと著者自ら語っている。しかし、バンドの活動の様子はおおむね伝わってくる。

バンドはアイルランドのダブリンで結成。当初はリードヴォーカルに別の人がいて、バンド名もその人がB級ホラー映画からとって名付けた。しかしこの人は後に脱退し、ギタリストのケヴィン・シールズがリーダーとなり、ヴォーカルも担うようになる。

ハイライトはやはり『Loveless』に関するところで、全曲解説や制作時のウラ話など、何章も費やしている。制作費を使い過ぎて所属レーベルのクリエイションを潰しかけたというエピソードは有名だが、ここでは訳者のタッチがそうさせているのか、淡々と語られていて、生々しさは伝わってこない。

ケヴィンはもともとダイナソーJr.にあこがれていたとか、後にそのダイナソーと一緒にツアーすることが実現したとか、ケヴィンは実はニューヨーク生まれとか、興味深いエピソードをいくつか知ることができた。その最たるは、『You Made Me Realize』のノイズインプロヴィゼーションが何分繰り広げられるかというもの。当時から、ファンにとってはお約束だったようだ。また、巻末には訳者である伊藤英嗣による『Loveless』リリース直後のケヴィンのインタビューがあり、とても興味深い。

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1984年(小説)


ミューズが昨年リリースしたアルバム『The Resistance』のモチーフにもなっている、『1984年』という小説をここのところ読んでいて、フジに行く前の日に読み終えていた。作者はジョージ・オーウェルで、1949年に刊行されている。


世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3国にて分割統治され、各国間での戦争は絶えず続いている。舞台は、オセアニアのロンドン。街中には至るところに監視カメラがあり、人々は常に当局に監視されていた。思想や結婚の自由はなく、記憶は常に改ざんされ、どれが事実でどれが虚偽なのかがわからなくなっている。


主人公ウィンストンは真理省の役人だが、ある日日記に自分の思ったことを書くという禁じられた行為に手を染める。今の世の中に疑問を抱くウィンストンは、やがてジューリアという女性と知り合い、密会を重ねる。しかし密告によって2人は当局に捕らえられ、拷問を受けながら洗脳されてしまい、当局への服従を誓うのだった。


執筆された時期からして、戦後のソ連をモデルに描かれたと言われている。ディストピア(反ユートピア)作品の傑作とされ、この作品にインスパイアされたアーティストは少なくない。デヴィッド・ボウイの『Diamond Dogs』、レディオヘッド『Hail To The Thief』の『2+2=5』などがそれだ。映画『未来世紀ブラジル』の世界観も、非常に近い。


ミューズの『The Resistance』には、『United States Of Eurasia』という曲があったり、歌詞の中に「思考警察」など、この作品中のことばがまんま登場する。ミューズがアルバムをコンセプチュアルに仕上げたのは、思考や思想を制限されている世界観は、今の世の中でもさして変わらないだろうという見方と、それに対する反抗なのだと思う。


この小説、映画化もされていて音楽をユーリズミックスが担当している。日本未公開作品とのことだが、ビデオとかで観られないかなあ。


The Resistance


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狭い自宅を浸食する書籍類。いくつかを処分することにし、今回はディスクユニオンに送ることにした。

ディスクユニオンには、新宿とお茶の水に書籍買取専門窓口があり、お茶の水駅前店の方に事前にTEL。買い取れる本とそうでない本とがあり、ロッキンオンやクロスビートはNGだった。というわけで、他の音楽雑誌やアーティストのバイオ本など約70冊ほど送付。3日後に査定結果の通知が来て、その翌日に店舗まで行き、支払額を直接受け取った。

買取額は、7000円強。正直なところ、1000円にも達しないのではないかと予想していたので、大満足である。レコードコレクターズやDIGといった雑誌が、数としては大多数だったのだが、1冊10円換算。一方のバイオ本はピンきりだった。椎名林檎関連は50円だったが、ブルース・スプリングスティーンやボブ・ディラン、プリンスなどは200円から500円がついた。最高値はジャクソン・ブラウンで、なんと800円だった。

1000円もいかないのではと思ったのは、以前ブックオフに300冊ほど売ったことがあって(音楽以外の書籍と混在してたけど)、そのときの買取額が1800円くらいだったからだ(しかも明細なし)。それ専門のところに当たれば、それなりの結果が出るということを実感している。

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『at 武道館』をつくった男

ソニーミュージックの名物ディレクター、野中規雄氏の半生を綴った本、「『at 武道館』をつくった男」を読んだ。タイトルにもある通り、チープ・トリックの名盤にしてブドーカンの名を世界に広めた『at 武道館』の制作を担当した人で、他にもエアロスミスの『Walk This Way』に『お説教』という邦題をつけたり、ジャニス・イアンに慕われたりしている人である。

群馬出身の野中氏は高校では糸井重里と同期で、早稲田大学卒業後の70年代前半にソニーミュージックに入社。新人の頃はラジオ局を中心に外回りをし、自分が担当しているアーティストの曲をかけてもらうよう踏ん張ったそうだ。やがてディレクターとしてアーティストを担当するようになり、モット・ザ・フープルやエアロスミス、チープ・トリックなどのプロモーションを手掛ける。80年代になると邦楽担当になってオーディションで新人発掘を行い、ジュディ&マリーやホワイトベリー、パフィー、平井堅などを手がけたそうだ。何度かの組織再編の中でソニーミュージック内を渡り歩き、昨年定年退職されている。

締めくくりは、昨年4月に行われたチープ・トリックの30年ぶりの武道館ライヴと、その前日に発売された『at 武道館』豪華盤だ。しかし、残念ながらワタシはチープ・トリックには思い入れがないので、読んでいて感激はなかった。その代わりと言ってはナンだが、クラッシュのところには食いついた。レコード会社毎にどのパンクバンドを扱っているかで張り合ったそうで、ピストルズもダムドも他社に行った中、ソニーが迎えたのがクラッシュだった。野中氏はクラッシュのツアーにも同行し、ジョー・ストラマーを間近で観続けた。ジョーは音楽とは裏腹に、普段は物静かで大人しく知的な人だったそうだ。そしてクラッシュのライヴを観て、今後クラッシュを超える自分が情熱を注げるアーティストは現れないだろうと思い、現場から離れることにしたそうだ。

アーティストの伝記本は数多く出版されているが、レコード会社の人の半生が活字になったというのはとても珍しいと思っていて、非常に興味深かった。自分が手がけたアーティストのシングルやアルバムを少しでも多く売ることに情熱を注ぎ、そのためには何をすればいいのかという苦悩や奮闘ぶりは、まさにサラリーマンの姿勢であって、共感できるものがある。

1度だけだが、ワタシは野中氏にお目にかかったことがある。クラッシュ『London Calling』のデラックスエディションが2004年の暮れにリリースされ、それに先駆けて試聴会が開催され、それに参加したことがあったのだ。そのときは腕のいいビジネスマンという印象があったのだが、この本には長髪で凛凛しい若い頃の写真もいくつか掲載されていて、ディレクター時代はかなりのやり手だったのかな、なんてふうにも思った。

『London Calling』25周年イベント(1)
『London Calling』25周年イベント(2)
『London Calling』25周年イベント(3)

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ガイド・トゥ・グラスゴー・ミュージック 


ロック史を総括したディスクガイド本は、今年も結構出版された。しかし、ワタシは今までこの類は何度も買って読んでいて、若いロックファンならまだしも、さすがに今さらなあと感じるようになり、どれにも興味は沸かず何も買わなかった。タワレコにて、それらのガイド本の横に「ガイド・トゥ・グラスゴー・ミュージック」という本があって、ちょっと立ち読みしたところ面白そうだったので、買って読んでみた。その名の通り、ずばりグラスゴー出身のアーティストやグラスゴーに根ざした音楽を特集した本である。

グラスゴーはイギリス北部スコットランドの中心都市である。この都市が輩出したアーティストは、フランツ・フェルディナンド、トラヴィス、プライマル・スクリーム、ティーンエイジ・ファンクラブ、モグワイ、ジザメリ、ロディ・フレイム/アズテック・カメラ、ベル&セバスチャン、オレンジジュース、アラブ・ストラップ、トラッシュキャン・シナトラズ、フラテリスといったところ。世界的にブレイクし、フェスティバルのヘッドライナークラスにまで上り詰めたアーティストもいれば、マイペースで活動を続けているアーティストもいる。

この本では、アーティストやレーベルで働く人へのインタビューを試みてグラスゴーの音楽シーンやそのアーティストとの相関を語らせ、最後にはグラスゴー発の好きなアルバムを尋ねて締めくくっている。また、編者は実際に何度かグラスゴーまで足を運んでいて、地元のレコードショップやスタジオなどを紹介し、それだけでなくグラスゴーの都市そのものについても言及している。中村俊輔がセルティックに在籍するようになったことで、日本人にとってもグラスゴーは親しみが持てる都市になったが、ここでもサッカーとの相関について書かれている。巻末にはディスクガイドがあって、これはかなりありがたい。

定番アルバムばかりを紹介するガイド本は乱立しているが、たとえばこの本のように、もっとテーマを絞ってより深く突っ込んだガイド本というのが、もっとあってもいいはずだ。この本の内容は非常に密度が濃く読み応えがあり、これがシリーズ化されて、アイルランドやアイスランド、オセアニア、ウエールズのディスクガイド本なんてのが出版されれば、読んでみたくなるかもしれない。

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もう前の号になってしまったが、EyeScreamという雑誌を京都に行く新幹線の車中で読んだ。巻頭は、「Edge Of Rock」と題されたロックをビジュアル面からアプローチした特集だった。

その内容は、ミック・ロックと立花ハジメの対談、デニス・モリスやドン・レッツのインタビューなどだった。ミック・ロックはグラムやパンクを扱ったフォトグラファーであり、デヴィッド・ボウイの写真などがよく知られている。ミックによれば、それまでのロックにNoを叩きつけたのがパンクだが、連中もボウイの『Ziggy Stardust』は聴いていた、とのこと。デニス・モリスはパンク系のフォトグラファーで、特にジョン・ライドンとは親交が深かったとのこと。PILのファーストのジャケットを撮ったのも、そしてあのロゴを考案したのもこの人だそうだ。

巻末には、キルズのヴィヴィことアリソン・モシャートがモデルとして登場。そして、なんと言ってもこの号の最大のポイントは、ジョン・ライドンがスーツをびしっとキメている表紙だと思う。

EyeScream
http://www.usen-magazine.jp/es/0707.html

ミック・ロック写真展
http://dzppr.jugem.jp/?eid=1942
デニス・モリス写真展
http://dzppr.jugem.jp/?eid=2183