俳優の夏八木勲さんが11日に亡くなった。死因は膵臓がんで、73歳だった。

ワタシにとっての夏八木さんは、数多くの角川映画での演技が記憶に残る。「人間の証明」「野性の証明」「化石の荒野」など。中でも鮮烈だったのは、「戦国自衛隊」だ。昭和の自衛隊が戦国時代にタイムスリップし歴史に関わってしまうという、半村良のぶっとんだストーリーは、主人公伊庭を演じた千葉真一と、夏八木さんが演じた長尾景虎が両輪になり、作品を引き締めていた。

どっしりと構えた堂々たる佇まいでの役が多く、その凛々しき姿は主人公のよき理解者でもあり、また作品によっては主人公を追い詰める大きな壁にもなった。きっと、多くの若き俳優たちの手本になり続けたことだろう。名脇役のイメージが強いが、個人的にはもっと主役を演じてもよかったのになあと思う。

がんの治療をしながらも俳優業を止めることはなく、生涯現役を貫いた。現在未公開の遺作となる作品が、なんと6本もあるそうだ。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。

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カイジ2 人生奪回ゲーム(2011)

前作にて、命がけのゲームに勝利し借金を帳消しにしたはずのカイジは、再び借金まみれになって地下労働に逆戻り。地下労働者内のゲームでイカサマを見破り、借金返済で自身と仲間を解放するためカイジは再び地上へ。裏カジノにて、通称「沼」と呼ばれる巨大パチンコマシンに挑む。

マンガの原作がある、劇場公開映画のシリーズ2作目。主人公カイジは藤原竜也で、前作でその死と引き換えにカイジの人生観に大きな影響を与えた男がいたのだが、今回はその娘として吉高由里子が登場。カイジが父親を殺したと吹き込まれていてカイジを恨み、本作のキーパーソンになっている。

「沼」での借金返済を狙いカイジと共闘する中年男に、生瀬勝久。前作でカイジに敗れた男利根川は同じく香川照之が演じていて、前作の女社長のように運命共同体としてカイジのサポートはするが、微妙な距離感を保っている。そして、裏カジノを仕切る今回の敵の一条には、伊勢谷友介がキャスティングされている。

今回のゲームは、地下での「チンチロリン」、裏カジノでは「沼」に加え「姫と奴隷」というゲームがある。原作者が映画にも関わっているようで、「姫と奴隷」は原作にはないオリジナルなのだとか。ハイライトはやはり「沼」での攻防で、謎を解き明かしてもダメ、を何度も繰り返し、もうダメかと思わせるくだりは結構見せてくれる。

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俳優の三國連太郎さんが14日に亡くなった。死因は急性呼吸不全で、90歳だったそうだ。高倉健よりも年上だったのだ。

近年は「釣りバカ日誌」のスーさん役が代表的だが、ワタシはこのシリーズに興味がないため観ていない。ぱっと頭に浮かんだのは「息子」「復讐するは我にあり」の2作品だったが、よく調べてみると他にも結構観ていた。このブログに掲載している中だけでも、「セーラー服と機関銃」「野性の証明」「嵐が丘」で観ていたのだ。

存在感の大きさは絶大で、ワタシが観ている作品の多くでは大御所役がぴったりはまっていた。しかし、冴えない老人役をこなしたかと思えば、時に見せるコミカルな演技もまた魅力的だった。

ワタシは、三國さんと息子の佐藤浩市をセットで見続けてきた気がする。佐田啓二/中井貴一と並び親子二代俳優の元祖と言え、佐田啓二は早くに亡くなってしまったが、三國/佐藤は長年業界でつかず離れずの距離感を保っていた。三國さんは4回結婚していて、佐藤浩市は3度目の結婚での子供とのこと。つまり、世の中一般の親子関係とは少し感覚が異なると思われる。

謹んで、ご冥福をお祈りいたします。

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ガンヘッド

無人島のロボット建設工場を司るマザーコンピュータ「カイロン5」が、2025年に人類に宣戦布告。人類に勝利すると共に、自ら活動を停止した。その13年後、トレジャーハンターがカイロン5のチップを求めて島に上陸。しかしバイオドロイドの襲撃を受けてしまい、生き残ったのは日本人メカニックのブルックリンと、バイオドロイドを追ってきたニムだけになった。カイロン5が復活し、ブルックリンは、かつてカイロン5と戦った伝説のロボット「ガンヘッド」の残骸を発見。有人型に修復し、自ら乗り込んでカイロン5との戦いに挑む。

個人的には、よくわからなかった。画面が暗すぎて、またキャラクターの声も聞き取りにくくて、何をやっているのかわからないことが少なくなかった。ブ ルックリンは高嶋政宏が演じているのだが、トレジャーハンターのチームにはミッキー・カーチスや川平慈英、斉藤洋介などがいるのに、序盤であっさり死んでしまうという、信じられない展開。話が進めば進むほど、キャラクターが少なくなっていく。

がしかし、公開時こそ興業的に惨敗したものの、一部ではカルト的人気を誇っているらしい。アマゾンのDVDレビューはそのほとんどが絶賛の声で埋め尽くされ、今年2月には秋葉原でイベントが行われたそうだ。早すぎた作品として、どうやらここへきて再評価の機運が高まっているようだ。

制作は、「ガンダム」などのアニメを手掛けたサンライズと、「ゴジラ」などを手掛けた東宝がタッグによるもの。1989年作だから当然CG技術などない中、邦画にしてはガンヘッドをはじめとする兵器や近未来の建造物などをよく作ったなと思う。世界観は1984年の「ターミネーター」の向こうを張り、アニメのダグラムやボトムズを実写でやったらこうなるのかなと思わせてくれる。

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MW-ムウ-

とある島で化学兵器MW(ムウ)が漏れ、住民の大半は死亡し、生き残った者も政府によって処分された。それから16年。生き残った少年、結城と賀来は青年となり、賀来は神父となって神の教えを説き、結城はふだんはエリート銀行員だが、裏ではMWを奪取し政府への復讐を目論んでいた。

原作は手塚治虫で、社会派の現代劇は手塚にしては異色と言える。映画はいちおう原作に基づいてはいるが、結城と賀来以外はオリジナルのキャラクターが多い。原作そのままを期待してしまえば駄作の烙印を押されて仕方がないが、マンガの自由度の高さと実写で実現できることの限界を思えば、落ち着くところに落ち着いたのかなと思う。

結城を玉木宏、賀来を山田孝之、結城を追いかける刑事を石橋凌、その部下に林泰文、島の事件を追う新聞記者に石田ゆり子、というのが主なキャスト。結城が林泰文を何のためらいもなく殺し(間接的にだが)、石田ゆり子を見殺しにする辺りは、原作の結城を思い起こさせる。

この映画が駄作とされている最大の要因は、賀来のキャラ設定が弱いのと、結城と賀来の関係が不明瞭なことにあると思う。神の道を選んだ賀来は、自分および結城が救われることを願い、一方で悪に走る結城を止めようとするも止めることができない。そうなっているのは、原作では2人は同性愛の関係にあるからなのだが、映画ではそれが欠落しており、賀来はただただ結城に振り回される、存在理由が希薄な男になってしまっている。

劇場公開と前後して、2人が同性愛者と思わせる宣材ポスターが発表された。両事務所はOKを出したが、スポンサーがNGを出したがために映画本編では描けなかったのだとか。

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俳優の大滝秀治さんが2日に亡くなった。死因は肺扁平上皮がんで、京都の自宅で眠るように亡くなったそうだ。87歳だった。

近年は、関根勤のモノマネ(本人公認だそうだ)やCMでのコミカルなキャラクターが印象的な人になっていた。しかし、俳優としてのこの人も観ているはずだと思い調べてみると、「犬神家の一族」をはじめとする市川崑監督の金田一耕助シリーズの映画に、毎回異なる役で出演していた。主役というより、主役を影で支えたり導いたりする名脇役だったように思う。

独特の声質は、宇野重吉には否定されたが、伊丹十三には歓迎されたとのこと。本人もコンプレックスに思っていた時期があったらしい。西田敏行と佐藤浩市が主演した大作「敦煌」では、ナレーションを務めている。

87歳は大往生とも思うが、高倉健が81歳でなお現役であることを思えば、今一度輝いてもよかったのではと思ってしまう。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。


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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ もっとも嫌われもっとも影響力のあったアルバム
舞台は、自由や快楽、暴力が渦巻く都市。人気ロックバンド、バトル・ロッカーズとパンクバンドのマッド・スターリンとの対立があり、お互いのファン同士も衝突する。一方、この都市に原子力発電所建設の話があがり、土地開発を束ねる暴力団は貧民たちに強制労働を強い、ついに貧民たちの怒りが爆発し、暴動へと発展する。

ナレーションもなく、登場人物のセリフも少ないため、ストーリーや状況設定については観る側がくみ取って行かなければならない。なので、観る人によっては、訳がわからない単なるバイオレンス映画と思われて終わってしまう可能性もある。ただ、うまくくみ取りさえすれば、アンダーグラウンド映画ながら、現在でもカルト的人気を誇る作品であることを実感できる。「マッドマックス2」(ほぼ同時期に公開)やクエンティン・タランティーノ作品のような性格を秘めている、と思う。

バトル・ロッカーズは、ロッカーズの陣内孝則とルースターズの大江慎也・池畑潤二らから成る言わばドリームバンドだ。陣内は俳優としての原点がこの映画になり、当時はロックバンドとして活動。この後ロッカーズは解散し、本格的に俳優業に転身することとなる。リーゼント頭の陣内は、その後のどこかコミカルな雰囲気漂うキャラとは大きく異なる、反逆のエネルギーを爆発させている。

対立するバンドのマッド・スターリンは、まさに遠藤ミチロウのスターリンで、豚の首や臓物などを投げ入れるパフォーマンスは、当時実際にスターリンがやっていたことだそうだ。流れ者兄弟の弟は、今や芥川賞作家の町田康(当時は町田町蔵)だ。つまりこの映画は、日本のロックバンドがダイレクトに映像化された、極めて稀な例なのだ。

ほか、泉谷しげる、室井滋、上田馬之助、コント赤信号などが出演。監督は石井聰亙で、この作品が代表作だろうか。制作陣を見てみると、企画には泉谷も関わっていた様子。美術には後に「どついたるねん」を監督する坂本順治、デザインにはビジュアリスト手塚真の名も確認できる。

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『CASHEERN(2004)』


1970年代に放送されていたアニメを、当時宇多田ヒカルの旦那だった紀里谷和明が初監督として実写化したもの。以前一度観ている映画だが、そのときはよく理解できなかった。しかし、2009年にMXTVでアニメのキャシャーンを観てそのストーリーやキャラクターをおさらいできたので、再度トライしてみた。

大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合との長きにわたる戦争の中、各地でテロ行為が頻発するという時代。病気の妻を救いたい東博士は、少数民族の細胞に宿る新造細胞から人類の延命手段を研究していた。あるとき、実験用の死体が配されたプールに落雷があり、新造細胞が活動して死体が特殊能力を備えて蘇生。東に研究の場を与えた企業の男は恐怖を感じ射殺するが、生き残った4体が東の妻を拉致して逃亡し、人類への復讐を企てる。偶発的に新造人間の誕生を目の当たりにした東は、戦死した息子鉄也をプールに入れて蘇生させ、よみがえった鉄也は白いスーツをまといキャシャーンとして4体と戦う。

前回よりは少しだけ理解できた気はするが、やはり複雑で難解だ。そして、不満が残る。

まずは映像。CGを駆使したはいいが、テレビで観る限りは画像が荒くザラザラした感じに見えて仕方がない。劇場で観ていればクリアに見えるのか?

4体の新造人間は人類への復讐を誓うが、そもそも人間同士で大陸規模の戦争を長くやっていて、そこに新造人間が割って入ったところで中途半端なのだ。たったの4体で、彼らの科学力も軍事力もほとんど表現されないまま、いつのまにか大量のロボットが生産され、殺戮を始めているのも違和感がある。

この大陸規模の戦争をもっと壮大に描いていれば、ラストはまだ説得力が出てくるのにと思う。登場人物のほとんどが死に、鉄也が到達した境地は「伝説巨神イデオン」のラストのようだが、いきなりスケールが大きくなりすぎている違和感があるのだ。

善悪がはっきりしない作品は今や珍しくないが、戦争しているのに敵味方の構図がこうまでわかりにくい作品は逆に稀有だと言える。ほんとうの敵は?加害者は誰?被害者は誰?これらがあまりにも入り混じりすぎている。

東鉄也は第七管区で上官命令とはいえ何の罪もない一般人を殺害。相手は、後にブライに生まれ変わる人間とその夫人だった。その鉄也も戦死し父である博士によって蘇生するが、蘇生前の霊のような鉄也の意思は生き返ることを望んでなどおらず、言わば鉄也もマッドサイエンティストの父の実験の材料でしかなく、鉄也もまた被害者だ。ブライをはじめとする4人の新造人間は、存在そのものが悲しく、それはフランケンシュタインや「ブレードランナー」のレプリカントたちのようでもある。

オリジナルのアニメ版を観た後に観ると、アニメとは設定が異なりすぎていることで逆に切り離して観られるようになった。東博士はアニメではまともだが、映画では狂気にかられている。舞台は、アニメではロボット軍団によって攻撃されるが、映画では人間同士の戦いによって退廃的・厭世的な世界観になっている。一方では映画がアニメを継承している箇所もあって、これはこれで楽しめる。ブライキング・ボス/ブライが落雷によって自我に目覚めるのは共通している。

観た後にあれこれ考えさせるべく、敢えてぐちゃぐちゃにしているのだとしたら、制作者の意図は成功している。でもなあ。

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デトロイト・メタル・シティ(2008)


ポップでおシャレな音楽にあこがれ、大分から上京し東京の大学に進学した根岸は、卒業後晴れてプロのミュージシャンとしてデビュー。しかし、自分のやりたい音楽とはまるで異なるデスメタルバンド、デトロイト・メタル・シティ(DMC)のギター&ヴォーカル「クラウザー2世」として活動することに。また、ひそかに想いを寄せていた同級生相川との再会や、後輩がやりたい音楽を実現しているのを観たことなどにより、自分がやりたいことと現実とのギャップに悩む。


人気漫画を原作とする実写映画だが、ワタシは原作は未読。ではあるが、以前WOWOWで放送されていたアニメ版は観ていて、ストーリーは終盤以外は原作に忠実と思われる。また、今回観たのは、以前フジテレビで放送されていたのを録画したものだが、Fワードをはじめ、放送コード的によろしくない言い回しがかなりあったと思われ、爆音でかき消していた。場面そのものをカットしてしまえば前後のつながりがおかしくなってしまうためこのようにしたと思われるが、かなり珍しいことだと思う。


キャストは、根岸/クラウザー2世に松山ケンイチ、相川に加藤ローサ、事務所社長に松雪泰子、根岸の母に宮崎美子。DMCのドラマーはロバートの秋山、DMCと対決するラッパーは、ダイノジ大地だった。松雪のブッ飛んだ演技は痛快だし、松ケンの怪演ぶりは作品を引き締めている。「デスノート」のLもそうだったが、実写化が困難と思われる役であればあるほど、この人は生きる(「ノルウェイの森」のワタナベ役は、果たして原作のイメージ通りだったのだろうか?)。


そして、クライマックスでクラウザー2世と対決する伝説のミュージシャン役に、Kissのジーン・シモンズ。また、主題歌であり劇中で根岸がアコギ弾き語りで歌う曲は、カジヒデキが書いた曲なのだが、カジヒデキもちゃっかりカメロ出演している。この主題歌、アニメ版でも同様に使われていた。


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カイジ 人生逆転ゲーム(2009)


自堕落な生活をおくるフリーターのカイジは、借金の保証人になっていた知人が夜逃げしたことから、利子がついて膨れ上がった借金の返済を迫られる。金融会社の女社長遠藤は、一夜にして借金を帳消しにできるチャンスがあることをカイジに教え、その舞台となる船にカイジは乗り込む。そして、勝てば天国負ければ地獄のゲームが始まったー。


カイジに藤原竜也、女社長に天海祐希、ゲームを仕切り終盤でカイジと対決する男に香川照之、ほか、光石研、佐藤慶、松尾スズキらが主なキャスト。松山ケンイチも特別出演していて、藤原くんとの「デスノート」共演が、もちろん違う関係性ながら実現している。あ、そういや山本太郎も出ていたので、こちらは藤原くんと「バトル・ロワイヤル」共演組に。なお佐藤慶は、本作が遺作になったそうだ。


ゲームは、限定ジャンケンから鉄骨渡り、そしてカード対決となるのだが、なぜか緊迫感を感じることがなかった。劇場の大きなスクリーンではなく、テレビで観たからかな。あと、テレビ放送ということもあってか結構カットされているらしい。


この「カイジ」、実はマンガの原作があって、原作の方が映画よりはるかに出来がいいとの評判だ。うーむ。ワタシは原作を知らずに先に映画の方を観てしまうパターンが多い。先の「デスノート」しかり、「20世紀少年」しかり。「カイジ」の原作も、読んでみようかな。原作はよりドロドロしているらしく、その分だけリアリティーがあるとのこと。また、映画の方は続編の公開が決まっているそうだ。


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