今回のローリング・ストーンズ来日に際し、DVDを結構観た。以前に観た作品と併せ、整理しておく。

・『Rock And Roll Circus』
・『Gimme Shelter』
・『Ladies And Gentlemen』
・『Some Girls Live In Texas'78』
・『Checkerboard Lounge・Live Chicago 1981』
・『Live At The Max』
・『Bridges To Babylon Live In Concert』
・『Four Flicks』
  - New York City : Madison Square Garden
  - London : Twickenham Stadium
・『The Biggest Bang』
・『Shine A Light』
  - ボーナス映像
・『Crossfire Hurricane』
・『Sweet Summer Sun』

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Muddy Waters & Rolling Stones『Checkerboard Lounge・Live Chicago 1981(DVD+2CD)』

ワタシは、ローリング・ストーンズのライヴにマディ・ウォーターズがゲスト出演したライヴと思い込んで買ったのだが、いざ商品を手にしてみるとなんと真逆。こりゃ失敗したなと思いつつもいちおう観て聴いたが、素晴らしい内容だった。以下、DVDを中心に書く。

バディ・ガイが所有するという狭いクラブでの、マディのバンドによる演奏でスタートし、3曲目でマディその人が客席からステージに登場し、椅子に腰かけて歌いながらスライドギターを弾き、これで少しの間演奏が続く。

やがて、ストーンズのメンバーがクルマでクラブに乗りつけ、客席の最前列に次々に座る。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッド、そして彼らの家族だ。しかし、ステージからマディがミック、キース、ロニーをひとりずつ呼び寄せ、3人はステージに加わる。

マディを囲むように、ミックは向かって左、キースとロニーは向かって右に陣取る。『Hoochie Coochie Man』『Manish Boy』といったお馴染みの曲を、マディとストーンズが共演しているのだ(しかも100人も入らないクラブで)。マディの野太いヴォーカルを、ミックの聞き慣れたセクシーなヴォーカルがもり立てる。

やがてマディとミックは客席に戻り、マディのトリビュートライヴのスタイルになる。クラブのオーナーのバディ・ガイやレフティ・ディズなどがステージに現れ、ライヴをこなしていく。

キースとロニーはタバコをくわえながらリラックスした面持ちでギターを弾いている。そして、ここではなんとイアン・スチュワートがピアノを弾いている。ストーンズの映像作品ですらあまり映ることのないイアンだが、ここでははっきりとその姿を、何度も確認することができるのだ。終盤にマディとミックが再びステージに立ち、ライヴは締め括られた。

ボーナス映像は、実はライヴの1曲目だった『You're gonna miss me when I'm gone』と、ストーンズ全米ツアーから『Black Limousine』が。後者はストーンズのオリジナルだがブルース色が濃く、自らのルーツを失っていないことの現れとしてここに収録されているのかもしれない。

2枚組CDはDVDよりも収録曲が多く、こちらの方がむしろライヴの全体像に触れることができる。

マディはこのライヴの翌年にガンがみつかり、その次の年の83年に亡くなっている。イアンも86年に亡くなっていて、そういう意味でも貴重な記録だ。

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The Rolling Stones『Some Girls Live In Texas'78』

ローリング・ストーンズの蔵出しシリーズ、1978年のライヴ映像を観た。アルバム『Some Girls』に伴う北米ツアーから、テキサスの3000人規模のシアター会場での公演だ。

バンドはストーンズ5人のほか、ピアノのイアン・スチュワート、キーボードのイアン・マクレガンのみという、シンプルな編成だ。パンクの嵐が吹き荒れオールドウェイヴ扱いされることに対する回答、またキース・リチャーズがクスリで終身刑になりかけたというスキャンダルに対する、音楽のみで勝負するというストーンズの姿勢らしい。

メンバーの衣装はスマートカジュアルで、チャーリー・ワッツ以外のメンバーがこの格好でステージに立っているというのも、観ていて眩しく感じてしまう。ミックが立ってキーボードを弾きながら歌うシーンは新鮮だし、マイクスタンドを分け合って歌うシーンも少なくない。ミックとキース、ミックとロニー、そしてキースとロニーと、目まぐるしく変わる。ミックはロニーにちょっかいも出している。

セットリスト全17曲中、『Some Girls』から7曲演奏し、しかも中盤に固め撃ち。当時では当然のセレクトだったと思われるが、今観るとかなり新鮮だ。オープニングと終盤に『Let It Rock』『Sweet Little Sixteen』とカヴァーを入れ、ルーツ確認とリスペクトを忘れていないのは、現在も同じだ。

キースコーナーでは『Happy』に並ぶ定番曲『Before They Make Me Run』が『Some Girls』にはあるというのに、ここでは落ちているというのも、なんだかユニークだ。終盤は黄金ナンバーで攻め立てているのだが、ここには『Satisfaction』がない。面白い。

ボーナス映像は、2011年のミックのインタビュー、サタデー・ナイト・ライヴでのダン・エイクロイドのインタビューと3曲のスタジオライヴ、そしてABCニュースでのリハーサルの様子だ。

ストーンズは、そのキャリアの長さに比して映像作品の少ないバンドだったが、それもここ10年で事態は大きく変わった。現在のツアーを『Four Flicks』『The Biggest Bang』という4枚組ボックスで出したかと思えば、『Gimme Shelter』のボーナス映像つき再発、更にはまさかの『Ladies And Gentlemen』復刻、そしてこの作品、と、ほぼ全時代に渡るフォローが完成しつつある。

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The Rolling Stones『Shine A Light』コレクターズエディション

ワタシが持っている『Shine A Light』コレクターズエディションは、本編ディスクとボーナスディスクという構成になっていて、本編ディスクにもボーナス映像が組み込まれている。

その本編ディスク。メイキング映像は、とても興味深い。映像ではセットリストがぎりぎりまでわからないことに焦れるスコセッシの姿があったが、一方で、映画用にカメラを多数配置されるのは、ストーンズ側にとっても必ずしもやりやすくはなかったことも伺える。

公演は2回収録されたが、日替わりで演奏され、かつ本編からはカットされている4曲があって、それがここで堪能できる。『Undercover Of The Night』『Paint It Black』『Little T&A』『I’m Free』と、かなり貴重だ。

また、『Jumpin Jack Flash』など4曲のマルチアングルもあり、リモコンで切り替えながら各メンバーの動きを追う。ミックやキースの背中はこう見えているのかというチャーリーのアングルも興味深いが、個人的にはキースのショットが面白い。あまり動いていないように思えるキースだが、結構ステージ前に踊り出ていることがわかる。

ロンドンプレミアや、ベルリン映画祭のレッドカーペットの様子も興味深い。

ボーナスディスクの方だが、こちらはインタビューのオンパレードだ。冒頭は、トータス松本がミック・ジャガーの横に腰掛け、英語でインタビュー。メンバー4人とスコセッシのインタビューが、日本、ベルリン、オフィシャルと計3種類もあって、観るのが大変だ(笑)。日本については皆好意的なコメントをしていて、リップサービスと思いつつも嬉しい。

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The Rolling Stones『Shine A Light』

劇場でも観たが、コレクターズ・エディションのDVDも入手していた。改めて観たが、そのクオリティーの高さに驚かされるばかりだ。まずはDisc1の本編。

マーティン・スコセッシが監督し、このためのライヴを2006年10月29日と11月2日の2回収録。会場は、ニューヨークにあるビーコンシアターという、2〜3000人クラスのキャパシティーだ。

セットリスト作りに悩むミック・ジャガー、セットリストがなかなか来ないことに焦るスコセッシ(芝居のような気もするけど)、元大統領クリントンをはじめとするセレブとの対面など、ライヴ開始に至るまでの道のりが決して平坦ではなかったと思わせる。

しかし、『Jumpin' Jack Flash』のイントロが響いたその瞬間に、混乱は吹っ飛ぶ。狭い会場の狭いステージで、臨場感がありすぎる。時折、曲間に60年代頃と思われるメンバーのインタビュー映像が挿入されるが、これは個人的にはボーナス映像にして本編とは切り離してほしかった。

セットリストも興味深い。『Shattered』『She Was Hot』『Some Girls』『 Just My Imagination』『Far Away Eyes』は、レアな部類に入るはずだ。キース・リチャーズがギターを持たずに歌う『You Got the Silver』も貴重だ。

ゲストも豊富だ。『Loving Cup』ではホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが、マディ・ウォーターズのカヴァー『Champagne & Reefer』ではバディ・ガイが、『Live With Me』ではクリスティーナ・アギレラが、それぞれ出演。ミックのパフォーマンスが注目で、ジャックとは先輩後輩、アギレラとは男と女、バディとは師匠と弟子という、3者3様の関係性を作っているように見える。

『Sympathy For The Devil』では、ミックはフロア後方の入口から登場し、客が陣取る中の通路を歩いてステージにやってきた。スタジアムでは、Bステージを歩きながら悠々と戻っていくミックの勇姿が、頭をよぎる。終盤は鉄板ナンバーを固め撃ちし、ショウが終わるとバックステージから会場外にまでカメラは追いかけ、会場を引きで撮ったところでエンディングとなる。

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Rolling Stones『The Biggest Bang』

ローリング・ストーンズは2005年から2007年にかけて行ったのが、当時の新譜『A Bigger Bang』にリンクしたワールドツアーだった。このツアーがまだ終わらない2007年夏に、4枚組DVD『The Biggest Bang』がリリース。計7時間30分にも渡る大作だ。

Disc1 - 2006.10.22. Texas
テキサスの野外スタジアム公演を収録。大がかりなステージセット、ベロマークの花道、そしてBステージと、このときのツアーのビジュアルイメージはほぼ凝縮されている。しかしセットリストは、『She's So Cold』『Sway』や、キースがリードヴォーカルの『Little T & A』など、結構レアだ。ボーナス映像として、イタリアでのスタジオリハーサルの模様が収められている。

Disc2 - 2006.2.18. Rio
このときのツアーの最大のトピックになった、ブラジルはリオでのフリーライヴを、本編とドキュメンタリーにて収録。ステージはビーチに設置され、報道では120万人とも150万人とも言われる人が集まったとされている。スタッフはショウを成功させなくてはというプレッシャーを背負い、ストーンズの4人は若干緊張しつつもこの壮大なお祭りを楽しんでいる様子だ。

Disc3 - The Rest Of The World
日本・中国・アルゼンチンの模様をそれぞれダイジェスト収録。日本公演は、東京ドーム、札幌、さいたまスーパーアリーナの演奏がピックアップされている。中国はストーンズにとって初となる公演地だった。ボーナス映像では、ゲスト出演したアーティストたちをピックアップ。エディ・ヴェダー、ボニー・レイット、デイヴ・マシューズらだ。

Disc4 - Documentary
ツアー始動から(恐らく)2006年末までをフォローした、ドキュメンタリー。NFLスーパーボウルのハーフタイムショウに出演したときの模様は、ステージセットを数分で組み立てることができるか否かという、緊張感が舞台裏では漂っていた。ボーナス映像は4人それぞれをフィーチャーした約18分の映像だが、チャーリーに約半分の時間が費やされていたのが興味深い。

ストーンズのDVDというと、この前のリックスツアーを収録した4枚組『Four Licks』が決定的だ。今回は商品のクォリティーとしては若干及ばない気もしないでもないが、それでもとてつもない記録であることに間違いはない。

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ローリング・ストーンズ8年ぶりの来日公演は昨夜で終わった。3公演は過去に比べてかなり少ないが、それでも大きな話題になった。ワタシは、中日に当たる4日の公演を観に行っていた。

正直なところ、今回はこれだという目玉が特にないように思えた。90年は、解散の危機を克服しついに実現した初来日。95年は、アンプラグドブームをストーンズ流に解釈。98年は、ネット投票とセンターステージの導入。2003年は、武道館に横浜アリーナと、ドーム以外の会場に初進出。2006年は、さいたまスーパーアリーナ進出と、演奏しながらBステージに移動。

では、今回は?

2012年の結成50周年ツアーの流れを汲み、ロン・ウッド以外のメンバーは70歳越え、といったところだろうか。確かに、50年トップを走り続けてきたというのはすごいことだし、70歳オーバーにしてドームで2時間のライヴというのは驚異的だった。

いや、もうひとつあった。

ミック・テイラーの帯同だ。

69年から74年まで、いわゆるストーンズ黄金期に在籍し、脱退後はセッションミュージシャンや自身のソロ活動を地道に続けてきたテイラーが、再び(そして日本でははじめて)ストーンズのステージに立ったのだ。

もちろん情報として知ってはいたし、DVD『Sweet Summer Sun』や去年のグラストンベリーの映像で観てはいた。がしかし、4日の公演で投票曲が『Silver Train』になり、テイラーが姿を見せたとき、言いようのない感動が沸き起こってきた。

ワタシは、99年10月に渋谷のクアトロでテイラーのソロライヴを観たことがある。一生つきまとうであろう元ストーンズの金看板を背負いつつ、ギタリストとしてのテクニックは依然として冴え渡り、ヴォーカルまでこなしていた。自らバンドを出た手前、ストーンズと再び絡むことなどありえないだろうと、思っていた。それが、15年経って覆ったのだ。

テイラーが参加する枠は、キースの1曲、『Midnight Rambler』、そしてオーラスの『Satisfaction』と決まっていた。しかしワタシが行った4日は上述の通り『Silver Train』もあって、得した気分だ。見た目はさすがに年を隠せないが、その技量は、ステージ上の現役感を彩ってあまりあるものだった。

同窓会のノリと思っていたテイラーの起用こそ、実は今回のツアーの目玉だった。仕掛けたストーンズも、受けたテイラーも、どちらもすごい。ストーンズには、まだ切り札のカードがあったのだ。

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Jumpin' Jack Flash
You Got Me Rocking
It's Only Rock 'N' Roll (But I Like It)
Tumbling Dice
Ruby Tuesday
Doom And Gloom
Respectable (Fan song vote, with special guest Hotai)
Honky Tonk Women

-Band Introductions
Slipping Away (with Keith on lead vocals, featuring Mick Taylor on guitar)
Before They Make Run (with Keith on lead vocals)
Midnight Rambler (with Mick Taylor on guitar)
Miss You
Paint It Black
Gimme Shelter
Start Me Up
Sympathy For The Devil
Brown Sugar

ENCORE
You Can't Always Get What You Want (with the Senzoku Freshman Singers)
(I Can't Get No) Satisfaction (with Mick Taylor on guitar)

以上公式サイトより。『Respectable』のスペシャルゲストの「Hotai」って、布袋寅泰?

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東京ドームホテル3階ストーンズグッズ売り場

昨日のローリング・ストーンズのライヴ、グッズ購入は情報戦とフットワークと休みを駆使していた。

東京ドームに来るのは、去年11月のポール・マッカートニー以来だった。このときは会社から直行したが、開演20分前にしてグッズ売り場が長蛇の列になっていたため断念し、場内にてパンフレットのみ購入。翌日、グッズを買うためだけに会社帰りに再訪。いくつかを買いはしたが、売り切れの商品も少なくなかった。

ストーンズ公演初日26日のグッズ販売の状況をネットで見て、またもや激混みの様子だった。ポールのときの教訓もあり、また、平日にこなしたい用事もあったので、昨日は1日休みを取り、12時半前に現地入りした。

ネットしていて、隣接する東京ドームホテル内にもグッズ売り場が設置されていることを知り、しかも待ち時間がほぼないとのことだったので、こちらに直行。ワタシが着いた頃にちょうど販売が始まり、待ったのは2分程度で、すぐ自分の番になった。品揃えは全体の約半分程度だったが、パンフレットとツアーパス、Tシャツ2枚を購入。早々に「任務」を完了できた。

この後、東京ドーム22ゲート前の正規の売り場を覗きに行く。販売が始まったばかりと思われるが、この時点で長蛇の列ができていて、恐らくだが購入までに90分以上はかかるように思えた。

22ゲート前ストーンズグッズ売り場

売り場は後楽園駅方面にもあって、こちらも覗いてみる。やはり取り扱う商品を絞っている様子だったが、Tシャツに関しては全種類扱っているように見えた。若干並んではいたが、22ゲート前売り場よりもはるかに少なかった。

後楽園駅側ストーンズグッズ売り場

ファミレスやカフェで時間を潰し、17時過ぎに再びドームへ。22番ゲート前売り場の混みようは相変わらずだが、東京ドームホテルの売り場も長い列ができていた。

入場し、場内のグッズ売り場も見てみる。22ゲートから入って左にちょっと行くとあるグッズ売り場は、17時半前で10数人程度。ちょっと待てば買える様子だった。但し、こちらも商品の種類を絞っている。

長時間並ぶのはそりゃ大変だが、売り場が複数設けられているのも、東京ドームくらいではないだろうか。武道館や横浜アリーナでも一ヶ所だったし。公演日が休日なら早めに動き、平日なら(可能ならば)休みを取れば、なんとかならないこともない。

しかし、CDは売れないと言われている昨今だが、グッズ販売に限っては異常とも思えるくらいの大盛況ぶりだ。

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ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)@東京ドーム 2014年3月4日

もちろんプロ中のプロなのだから、それ相応のライヴをするとは思っていた。ただ、個人的には10回以上観ていて、驚きや感動はしないかもしれない、いやしなかったとしても、観られればそれでOKと思っていた。ところが・・・。

18時30分開演だが、それから25分ほどが経ったところで照明が落ちた。サンバ調のSEが少しの間流れ、さてオープニングは・・・と構えていると、『Start Me Up』の電撃のイントロが。そしてステージが明るくなり、メンバーの姿が確認できるようになった。

ステージセットは、今回はかなりシンプル。日輪のような円形のアーチがあしらわれ、スタンド席から見る限り奥行きはあまりないように見えた。スクリーンは両サイドに設置されているほか、バックドロップも巨大スクリーンになっている。花道は左右に伸びているほか、正面から客席に向かって突き出していた。この正面花道周辺の席が、ゴールデンサークルと名付けられた8万円の席だ。

曲は、90年代以降では数少ないスタンダードナンバー『You Got Me Rocking』。そして、『It’s Only Rock ‘N’ Roll』『Tumbling Dice』と続く。その次が、なんと『Angie』。人気のあるバラード曲だが、個人的にはあまり興味のない曲「だった」。過去形にしたのは、この局面に来てストーンズがこう攻めてきたことに不意を打たれ、まさかの感激を覚えてしまったからだ。

ミック・ジャガー(以下ミック)がギターを弾きながら歌った新曲『Doom And Gloom』を経て、ネット投票曲のコーナーに。選ばれたのは『Silver Train』で、ここでミック・テイラー(以下テイラー)登場。ミックの後方にキース・リチャーズ、ロン・ウッド、そしてテイラーの3人が並んでいる。こんなショットが見られるなんて(しかもレア曲で)、夢のようだ。

そして『Honky Tonk Women』だ。キースが右手だけで弾くイントロは、シンプルなのにとてもカッコいい。まだ前半なのに、もうホンキー・トンクなのかと、この辺りから冷静でいられなくなってきた。

メンバー紹介を経て、キースコーナーへ。『Slipping Away』ではテイラーが登場。定番『Happy』は問答無用の盛り上がりを見せた。メンバーの中で、最も若い頃の面影がなくなっている(つまり老けた)のがキースだが、この日はブルーのスタジャン姿で登場し、センスのよさを感じさせる。

ミックがブルースハープを吹き、テイラーも加わる『Midnight Rambler』は、ストーンズのライヴバンドとしての力量の見せどころだ。注目はやはりテイラーで、器用に立ち回るロニーや唯一無二のスタイルを確立しているキースと異なり、この人は今なおギターの腕だけで勝負ができる。ジェフ・ベックやエリック・クラプトンの系統にある人なのだ。ミックとの絡みもあって、よもやの「ダブルミック」が実現だ。

『Miss You』では中盤のボビー・キーズのサックスソロが見せ場となり、ベースのダリル・ジョーンズのソロもあった。『Gimme Shelter』ではコーラスのリサ・フィッシャーがドームを支配し、『Sympathy For The Devil』ではチャック・リーヴェルのキーボードが絶妙のイントロになっていた。いずれもストーンズのツアーではお馴染みの面々で、彼らの貢献度の高さも見逃せない。

キースとロニーは、ほぼ1曲毎にギターを交換していた。ソロはロニーが多く、キメのリフはキースが大半を担っていた。チャーリーのドラムは、リズムキープだけでなく時にパワフルでもあった。この人は感情を表に出すことなく淡々とプレイしているが、その存在感は実は絶大だ。

ミックは、現在70歳にして、もうすぐひいおじいちゃんになるとは到底信じがたい運動量だ。中央と両サイドの花道に何度も足を運び、上部のカメラにも気を配る。スクリーンに映るその顔はしわくちゃなのだが、黒い衣装をまとう体形はまあスリムで、誉め言葉として「化け物」と呼びたいくらいだ。

そして、そのミックがロックパフォーマーとしての限界値を更新したのが、本編ラストの『Brown Sugar』だ。間奏のボビーのソロのとき、ステージ向かって右の花道から左の花道まで一気に走り抜け、その後歌い続けたのだ。ミックがダッシュすると聞いてはいたが、ワタシは曲の中間とは思わず、歌い終えた後に延々と繰り広げられるアウトロでだろうと思っていた。なんて人だ。

あまりインターバルを取ることなくアンコールとなるのだが、歌い出しは日本人コーラス団によるものだ。ステージの左右に12人くらいずつの男女が陣取り、荘厳なメロディーを見事にやりきった。そしてティム・リースのホルンとなり、『You Can’t Always Get What You Want』に。終盤はミックが花道にてシンガロングを煽り、ざわついていた場内も、サビを合唱してみせた。

オーラスは、もちろん『Satisfaction』。ここでまたテイラーが加わり、メンバーが持てる最後の力を結集して歌い演奏している。全てが終わると、恒例のメンバー全員が横一列に並んでの礼。キースはここで、頭、胸、下腹部を両腕でコツコツやる恒例のポーズをやっていた(メンバー紹介の際このポーズがなかったので、ん?と思った。単に忘れていただけなのかも)。この後はサポートが捌けてメンバーだけでの礼なのだが、ここにテイラーが加わって5人になっていたのが嬉しかった。

SET LIST

Start Me Up
You Got Me Rocking
It’s Only Rock ‘N’ Roll (But I Like It)
Tumbling Dice
Angie
Doom And Gloom
Silver Train (Fan Vote ・ with Mick Taylor)
Honky Tonk Women
Slipping Away (with Keith Richards on lead vocals and Mick Taylor joining on guitar)
Happy (with Keith Richards on lead vocals)
Midnight Rambler (with Mick Taylor)
Miss You
Paint It Black
Gimme Shelter
Jumpin’ Jack Flash
Sympathy For The Devil
Brown Sugar

ENCORE
You Can’t Always Get What You Want (with the Senzoku Freshman Singers)
(I Can’t Get No) Satisfaction (with Mick Taylor)

今やストーンズの「家族」と言ってもいい、サポートメンバーたちの力量。そして、言わずもがなのストーンズの力量。これらがひとつになり、素晴らしいライヴが繰り広げられた。年齢を考えれば、ほんとうに今回こそが最後の来日になってしまうのかもしれないのだが、終末感が漂うことはなく、今まで50年間やり続けてきたライヴを、ちょっとだけ進化させていた。

ワタシにとっては、『Doom And Gloom』『Silver Train』以外はライヴで体験済みの曲ばかりなのだが、1曲1曲がずしりと重く響いた。何度も聴き、観た曲が、同じであって同じではない、まさに今このときの音として鳴っていた。ストーンズが、またしてもやってくれたのだ。

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