Eric Clapton & Steve Winwood『Live From Madison Square Garden(DVD)』

エリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドが共演した、ライヴ映像を観た。2008年2月に、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行われたライヴだ。

クラプトンとスティーヴといえば、アルバム1枚と短命ではあったが、やはりブラインド・フェイスだ。ライヴも、その冒頭の曲『Hard To Cry Today』でスタート。歌うのが少しきつそうに見えなくもないが、それでもスティーヴのハイトーンヴォイスは健在だ。このときはスティーヴもギターを手にしていて、クラプトンと並び立っていた。

スティーヴはオルガンにまわり、そしてクラプトンのソロ曲より『Forever Man』。このセレクトは正直意外だが、結構嬉しい。80年代半ばのヒット曲だがポップに寄っていた時期でもあり、この頃の曲はその後あまり演奏されない。しかし、ライヴの場で再構築される価値のある1曲と、ずっと思っていたからだ。

バンドは、2人のほかはベース、ドラム、キーボードと、わりかしシンプル。いつものクラプトンのライヴではたいがい女性コーラスやサブのギタリストがいるのだが、かえって新鮮だ。その分だけ、2人のプレイにより集中できる。

『Presence Of The Lord』『Well All Right』と、ブラインド・フェイス時代の曲が、とにかくぶっちぎっている。まさか観られるとは聴けるとはという観る側の過剰な思い入れに、2人は現役度の高さを以て応えているのだ。懐メロではなく、緊張感を帯びた曲として、よみがえっている。

『Tell The Truth』『After Midnight』といった、クラプトンにとって定番の曲が披露される中、中盤にはアコースティックセットもあり、『Rambling On My Mind』『Georgia On My Mind』を。やがて通常セットに戻るが、ジミ・ヘンドリックスの『Little Wing』『Voodoo Chile』ときた。

終盤、ブラインド・フェイスの『Can't Find My Way Home』でギアが一段上がった感触があり、今なおスティーヴの代表曲のひとつでもあるトラフィックの『Dear Mr.Fantasy』でダメ押し。そして、ラストは『Cocaine』だった。

2011年のクラプトンとスティーヴの来日公演を観に行っているが、そのときとは少し変わっていることに気づいた。来日公演では女性コーラスがいたし、終盤は『Gimme Some Lovin'』だった。そんな違いをも楽しみつつ、2011年の来日公演のことも思い出していた。

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エリック・クラプトン(Eric Clapton)@横浜アリーナ 2014年2月23日

最後になるかもしれない、と言われてもう10年くらい経っている気がするエリック・クラプトンの来日公演だが、68歳というこの人の年齢を思えば、今回がほんとうにラストかもしれない。

予定より10分ほど過ぎたところで客電が落ち、クラプトンその人が真っ先に登場。バンドメンバーも続いて登場し、『Pretending』でライヴはスタートした。ステージ両サイドにはスクリーンがあり、数ヶ所に設置されたカメラによりメンバーの様子を適時映し出す。ステージ上部にはアーチ型の照明があり、これが時にスクリーンにもなっていた。

メンバーは、ステージ向かって右前方にベースのネーサン・イースト、その右後方にキーボードのクリス・ステイントン、後方正面にはドラムのスティーヴ・ガッド、左後方に黒人女性コーラス2人、その左にキーボードのポール・キャラックという具合。つまり、今回ギターはクラプトンひとりだ。

そのクラプトン、ジーンズにベストというラフないでたち。表情を見る限り、さすがに老けたなあと思ってしまう。しかし、ギターの腕は錆び付くことなく相変わらず冴えている、と感じる。曲は、『Keys To Highway』『Tell The Truth』『Hoochie Coochie Man』と続いていく。自分の持ち歌とリスペクトする先人のカヴァーが入り交じるが、違和感などあるはずはない。

ほとんどの曲において、助走のようなギターのイントロがあり、メロディーに差し掛かったところでどの曲とわかるような具合だ。そして1曲1曲が長尺で、丹念に演奏しているように見えた。中盤や後半にはお馴染みのギターソロがあり、ブラッキーを自分の体の一部のように操るこの人の勇姿を確認できる。

この日は来日7公演中4公演目で、言わば折り返しに当たる。前3公演のセットリストはだいたい把握していた。この日もその枠から飛び出すことはないだろうと思っていたところにきて、まさかのフレーズが。今回聴けるとは思っていなかった、『I Shot The Sheriff』だ!あがった。間違いなく、この瞬間、場内はあがった。そして、ワタシの心もあがった。

この後アコースティックコーナーになり、クラプトンは椅子に腰掛け、ブラッキーからマーチンに持ち替えてブルースナンバーを披露。ネーサンイーストは縦長のベースに持ち替え、黒人女性2人も椅子に座って要所でコーラスを入れていた。

ここでの見せ場は、やはり『Layla』『Tears In Heaven』だった。共に92年のアルバム『Unplugged』で大きくクローズアップされ、去年はそのデラックスエディションもリリースされたが、今回はアンプラグドのときとは異なる、もっとシンプルかつラフなアレンジで演奏された。

この後通常セットに戻るが、また一段ギアが入ったような感じになる。演奏がタイトになり、緊張感が漂ってくる。また、今回必ずしもクラプトンがヴォーカルを取るわけでもなく、曲によりキーボードのポールが歌い、クラプトンはギターに徹することもあった。本編ラストはお約束と言っていい『Cocaine』で、アンコールはジョー・コッカーの『High Time We Went』という曲。ここでもリードヴォーカルはポールで、クラプトンはギターおよびコーラスに徹していた。バンドメンバーを紹介することもなく、これにて終了した。


Pretending
Key to the Highway
Tell the Truth
Hoochie Coochie Man
Honest Man
Wonderful Tonight
I Shot the Sheriff

Acoustic:
Driftin' Blues
Nobody Knows You When You're Down and Out
Alabama Women Blues
Layla
Tears in Heaven

How Long
Before You Accuse Me
Cross Road Blues
Little Queen of Spades
Cocaine

Encore:
High Time We Went

ヴォーカル面においては、高音になると歌い回しを変えて低く歌うようにしていたので、さすがにきついんだろうと思った。また、セットリストは約半数がカヴァーで、これは21世紀になってからリリースされている、アルバムの傾向を反映しているようにも思えた。この人のキャリアを鑑みたとき、当初はギターオンリーで、ヴォーカルを始めたのはクリーム後期辺りからだと思う。ラストかもしれないこのツアーに来て、この人はギタリストに立ち戻り、今まで以上にルーツに回帰しているのではないかと思う。

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Eric Clapton『Best Of』

エリック・クラプトンの来日公演が、18日から始まっている。ワタシは、明日23日に横浜アリーナに行く予定だ。

クラプトン来日は2011年11月以来で、そのときはスティーヴ・ウィンウッドとの共演ステージだった。その前には、自身の単独公演もあったが、同時期に来日していたジェフ・ベックとの共演も実現した。今回は、自身単独によるステージとなる。

「残された時間はボーナスのようなもの」という発言から既に結構な年月が経つ。68歳という年齢もあり、今回さすがに公演の回数は今までよりも少なくなり、公演地も主要都市に絞られている。

しかし、それでもこの活動が驚異的であることに変わりはない。去年来日した、ポール・マッカートニー。今回同時期に来日する、ローリング・ストーンズ。3月末に来日する、御大ボブ・ディラン。4月に来日する、盟友のひとりジェフ・ベック。彼らは、ロックの限界値を拡大・更新している。そしてもちろん、クラプトンもそのひとりだ。

今回は、来日40周年とか、最後の来日か!?とか、といったフレーズが飛び交っている。年齢が年齢なだけに仕方がないとも思うが、個人的には今現在ステージに立つクラプトンの姿を、しっかりと目に焼き付けたい。

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Eric Clapton『Crossroads Live 1988』

エリック・クラプトンがデビュー25周年ツアーと銘打って行った時期より、カリフォルニア公演のライヴDVDを観た。

バンドは、ベースにネーサン・イースト、ドラム、パーカッション、キーボード、コーラス2人、そしてギターという具合。クラプトンのバンドにパーカッションがいるのは、結構新鮮だ。ギターは、ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーだ。ツアーメンバーとしては、あまりにも豪華すぎる。

セットリストはほぼベストヒットで、まさにキャリア総括というか、クラプトンの代表曲がこれでもかとばかりに演奏される。そんな中、当時の最新作『August』からの『Tearing Us Apart』や、その前の『Behind The Sun』からの『Same Old Blues』なども演奏されていた。特に後者は、ネーサンイーストとクラプトンとの掛け合いを含む長尺になっていて、ベストヒットとは別のところでハイライトになったと思う。

マーク・ノップラーはクラプトンと対等に渡り合うどころか、完全にバックに回っている。時期的には、『Brothers In Arms』でスターダムにのしあがった後だというのにだ。ただ、さすがにこの人にも見せ場はあって、オーラス前に『Money For Nothing』を。このときはクラプトンが脇にまわり、ギターとコーラスをこなしていた。

クラプトンはスーツをきこなし、髭をたくわえてはいるものの、こざっぱりとした印象だ。音楽誌などでは、80年代迷走していたクラプトンが、この25周年ツアーを機に持ち直し、そして89年の傑作『Journeyman』にたどり着く、とされている。ワタシがはじめて生のクラプトンを観たのも、そのアルバムに伴う90年の来日だった。

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Eric Clapton『Unplugged(CD+DVD)』
エリック・クラプトンの90年代のイメージを決定づけたMTV番組企画アンプラグド。CDと映像それぞれに未発表分を追加したデラックス・エディションが去年リリースされた。

まずはCD。2枚組になっていて、ディスク1は本編のリマスターだ。クラプトン以前にもアンプラグドライヴを行ったアーティストはいるが、このライヴによりアンプラグドのスタイルが確立したと言っていいはずだ。

原曲をアコースティックで披露することにより、曲が備えている別の一面を明らかになる。その最たるは、エモーショナルな原曲をレゲエ化した『Layla』であり、このイントロが鳴った瞬間こそ、「革命」が起こったのだと思う。

ディスク2は、未発表やリハーサル時の音源になっている。個人的に注目するのは、『Circus』『My Father's Eyes』の2曲。後に98年のアルバム『Pilgrim』で正式にリリースされるが、その6年前のこの時点で、既に曲は出来上がっていたことになる。へえー。

そしてDVDだ。本編はMTVで放送された映像なのだが、メンバーを観ていて改めて気づかされることがある。パーカッションがレイ・クーパーだったこと。キーボードがチャック・リーヴェルで、この人は90年代以降のローリング・ストーンズのツアーメンバーであること。アンディ・フェアウェザー・ロウが、まだ若々しく精悍な顔つきをしていること。

特典映像は、本編と同じくらいの約60分のリハーサルだ。客なし、クラプトンが違う色のジャケットを着ている、スタッフがところどころで見切れていたり、照明の具合を指示したりしたりするなど、結構面白い。クラプトンもさすがにリラックスしていて、曲間にタバコを吸うなどしている。

元々のクラプトンのアンプラグドが革命的なら、裏側を明かしたこのデラックスエディションも素晴らしい。ディランやニール・ヤングらもアンプラグドのアルバムをリリースしているので、デラックスエディションをだしてくれたら嬉しい。

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Derek And The Dominos『Layla And Other Assorted Love Songs』

60年代後半、ジョージ・ハリスンと親交を持ったクラプトンは、その妻パティ・ボイドに恋い焦がれる。一度はパティに告白するも、パティは当然断っている。クラプトンは「ライラとマジュヌーン」を読んで、決して実ることのない自らの恋にだぶらせ、『Layla』を作った。

今回、「ライラとマジュヌーン」を読んだ後に調べてわかったのだが、『Layla』が収録されている2枚組アルバム『Layla And Other Assorted Love Songs』には、他にもこの本にインスパイアされたと思われる『I Am Yours』という曲があって、作詞者にはニザーミーの名前も入っている。

ロックの名盤として名高いこのアルバム、デラニー・アンド・ボニーとのツアー、アメリカ南部音楽への接近、デュアン・オールマンとの出会い、という側面から語られることは多いが、クラプトン自身の恋愛に絡めた考察というのは、ありそうでいて実はあまり情報がなかった。

さて、現実のクラプトンとパティだが、『Layla』リリースは70年、その後いろいろあってパティがジョージと離婚したのが76年、そして79年に晴れてパティとクラプトンは結婚する。しかし2人の生活も永遠ではなく、クラプトンは別の女との間に子供をもうけ(パティとの間には子供はできなかったそうだ)、結局89年に2人は離婚している。

将来、クラプトンの伝記映画が作られることがあったら、『Layla』と共にパティとの関係が重点的に描かれるはずだ。

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アラブのとある豊かな首長の子として生まれたカイスは、学舎にて美しい乙女ライラと知り合い、恋に落ちる。ライラへの想いが強すぎるあまり、咆哮したり身に付けている衣服を自ら破り捨てたりと、野獣のごとく振る舞うようになる。人はカイスをマジュヌーン(狂人)と呼ぶようになり、マジュヌーンは人里離れた山中で獣と暮らすようになる。

一方のライラも、マジュヌーンへの想いは募る一方だったが、親族によってマジュヌーンと会わないよう隔離され、別の男と結婚させられる。やがてその夫は亡くなり、狂人となったマジュヌーンに手を差しのべ続けてきた彼の父も亡くなり、ついにはライラも病で亡くなってしまう。ライラの死を知ったマジュヌーンは彼女の墓前に赴き、そこで彼女への想いを募らせながら息絶える。

イスラム地域に伝わる悲恋物語で、この物語完全フィクションかと思いきや、訳者のあとがきによると、8世紀に実際にあった話をもとにしているのだそうだ。ストーリーの大枠だけは事前にやんわりと知っていたが、カイスがマジュヌーンに変貌してしまうのが、物語の序盤だったことには驚いた。

恋の重さに耐えかねて狂人になるカイス、狂人になってもなお変わらぬ想いを抱き続けるライラ。2人が誰にも邪魔されずに会えるようになったのは、ライラの墓前でのこと。もちろん悲劇には違いないのだろうが、もし2人が一緒になれたとして、2人は幸せになれたのだろうか。

ワタシが読んだのは、12世紀の詩人ニザーミー作の翻訳版。この本実は絶版状態で入手困難とされていたのだが、オンデマンド版という形で入手できることを知り、購入した。オンデマンド版というのは、原本をデジタルコピーした版で、値段も高く、字体も荒い。

そんな状況でも購入したのは、この物語があるロックの名曲のモチーフになっているからだ。エリック・クラプトンがデレク・アンド・ザ・ドミノスという変名バンドのときに作った、『Layla/いとしのレイラ』である。

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懐メロ感漂うライヴになるのではという予測もしていたのだが、予想以上に素晴らしいライヴだった。

強い雨が降りしきる中を入場。予定より10分ほど経ったところで開演となり、バンドメンバーが先に登場する中最後にエリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドが姿を見せた。ブラインド・フェイスの『Had to Cry Today』でスタート。クラプトンが向かって右でギターを弾き、スティーヴがその左に並んでギターを弾きながら歌いあげる。さすがに高音はキツそうだったが、CDで聴き親しんできた歌声だ。

続いてスティーヴはオルガンに回り、『Low Down』『After Midnight』となる。クラプトンはお馴染みのストラト「ブラッキー」を弾いていて、そのギターさばきは未だに錆びついていない。そしてスティーヴは、ギターよりも鍵盤の方がしっくりくる(ワタシのイメージでは)。バンドは、ドラマーのスティーヴ・ガッド、キーボードのクリス・ステイントンは過去にクラプトンバンドとして来日済み。ベースはウィリー・ウィークスという黒人、そして2人の女性コーラスという編成だ。

そして、『Presence Of The Lord』だ。最初にスティーヴ、次いでクラプトン、そして最後は2人でといった具合でヴォーカルを分け合い、終盤はクラプトンのギターが唸った。この後『Well All Right』『Can't Find My Way Home(アコースティック)』と、とにかく、ブラインド・フェイスの曲をナマで観られたのが、たまらなく嬉しかった。再結成クリームはロンドンとニューヨークだけで、来日はなかったしね。

このライヴの特徴は、カヴァーが頻繁にあることだ。マディ・ウォーターズの『Hoochie Coochie Man』や『Georgia On My Mind』などで、・・・というより、他にもJ.J.ケイルやロバート・ジョンソンなど、クラプトンが今や自分の曲のようにしてしまっている曲も披露。中盤は聴かせる曲で固め、そしてアコースティックへとシフト。クラプトンとスティーヴが椅子に腰掛けながらセミアコを弾き、ベースもアコースティックになっていた。『Wonderful Tonight』はどうやら日替わり曲のようで、おとといの札幌ではココは『Layla』だったらしい。

終盤は、スペンサー・デイヴィス・グループの『Gimme Some Lovin'』で、今なおスティーヴの代表曲のひとつ。コレは、8年前のフジロックでも演奏されていた。続くはジミ・ヘンドリックスの『Voodoo Chile』で、かなりの長尺に。本編ラストはクラプトン『Cocaine』だったが、間奏のギターソロはクラプトンだけでなくスティーヴもやっていた。スティーヴを「ギタリスト」として認識できたというのも、このライヴの収穫のひとつだ。アンコールは、トラフィックの『Dear Mr.Fantasyだった』。

かつての曲やカヴァーが中心だったにもかかわらず、懐古的な空気にならなかったのは、2人をはじめとするメンバーの技量と表現力が素晴らしく、緊張感を帯びていたからだ。歌わずにギターに徹するクラプトン、ブラッキーからブラッキーに交換するクラプトン、オルガンと弾きながら歌うスティーヴ、ギターソロを披露したスティーヴ、等、興味深いシーンの連続だったように思う。

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Eric Clapton & Steve Winwood『Live From Madison Aquare Garden』


エリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドのジョイントでの来日公演が、17日の北海道公演からスタートしいている。ワタシは、19日の横浜公演に行く予定だ。

21世紀に入ってからのクラプトンは、さすがにスローダウンした感がある。これは本人も「残された時間はボーナスのようなもの」と公言している通りで、新たに曲を作るよりも、偉大なる先人へのリスペクトとその音楽の次世代への伝承、若き才能の後押し、そして共に同じ時代を生きた戦友たちとの邂逅、といったところにベクトルが向いている。

コレはコレで、ワタシはアリだと思っている。ロバート・ジョンソンやB.B.キングをいきなり聴くのは取っ付きにくいが、クラプトンというバーターがいることで幾分か親しみやすくなる。クリーム再結成は、中弛みのないステージだった。クロスロード・ギターフェスでは世代を問わず多くのアーティストと共演し、そこから派生したのがジェフ・ベックとの共演だった。2人名義での世界初の公演は、日本で行われた。

今回のスティーヴとの共演も、クロスロード・ギターフェスがきっかけになっている。2人は1969年にブラインド・フェイスとして活動。短命ではあったが、インパクトはあった。思えば、クリームにせよブルース・ブレイカーズにせよヤードバーズにせよ、ヴォーカルはさておいて演奏面が際立っていた。そこへきて、スティーヴの白人ソウルのような伸びがあって圧倒的なヴォーカルは、クラプトンを大きく刺激したはずだ。

ジミー・ペイジにロバート・プラントがいたように、ジェフ・ベックにロッド・スチュワートがいたように、クラプトンにはスティーヴがいた。歳こそ取ってしまったが、この組み合わせを観られる機会ができたというのは、やはりありがたい。セットリストも、ツアーまるまる固定ではないようなので、どうなるか楽しみだ。

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Blind Faith『London Hyde Park 1969』


恐らくブラインド・フェイス唯一の公式映像であろう、ロンドンのハイドパークでのライヴを観た。

1969年6月7日に行われたフリーライヴで、10万人を動員したとのこと。そして、バンドにとってはこれが初ライヴであり、時系列的にはアルバムリリース前になるらしい。69年のハイドパークといえば、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ追悼&ミック・テイラーお披露目ライヴが思い浮かぶが、それはこのライヴの1ヶ月後になる。

映像としてのクオリティーには、正直言って不満が残る。カメラアングルは目まぐるしく変わり、ステージをじっと捉えることはほとんどない。ぎっしり詰まった10万の客や付近の川や橋などの風景に、音が被せられることも少なくない。これは、ひいき目に見れば、マスター映像があちこち破損していて、商品として世に出すために編集せざるをえなかった、苦肉の策だったのではと想定する。

そして、肝心かなめの演奏のクオリティーも、決して高いとは言えない。スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルは上ずることしばしば、高音がきつそうだった。全体的にみな動きが固く、ぎこちなさが見て取れる。デビューライヴで10万人では、そりゃ面食らうか。そんな中、ベースのリック・グレッチとギターのエリック・クラプトンは、表情を崩すこともなく淡々と演奏に徹していた。

この作品は、映像として記録され、世に出たことそのものに価値があるのだと思う。そして、リリース前ではあるがアルバムの曲はほとんど演奏されており、そしてストーンズ『Under My Thumb』のカヴァーまである。貴重にして希少、かな。

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