19時開場20時開演という、珍しいそして社会人にはありがたい時間設定。そして、19時30分過ぎにまずはオープニングアクトのKIMONOS。LEO今井と向井秀徳はふらっと現れ、少しチューニングした後にスタートした。

スローテンポで始まり、やがてヴォーカルが入りサビに差し掛かったところでやっと『Soundtrack To Murder』とわかる。向井と今井は、フロアに向かっては半身で、ステージ上で向かい合うように陣取っている。

向井は一本のギターだけで多彩な音を発する。時にはノイジーに、時には甘いメロディを。今井は、鍵盤の上部に設置した機材でサンプリングを操り、そして鍵盤を弾く。今井の声質はどこかデヴィッド・バーンに似ていて、そればかりか痙攣するような歌い方までバーンそっくり。こうして、KIMONOSは約25分のステージをこなした。

セットチェンジを経て、ヴァセリンズが登場したのは20時15分過ぎ。今回のライヴは、バンドが解散前にリリースした唯一のアルバム『Dum-Dum』を全曲演奏するというものだ。中央向かって右にユージン・ケリー、左にフランシス・マッギー。ユージンの向かって右隣には、ベルセバのギタリストであるスティーヴィー。フランシスの向かって左には、ベルセバのベースの人。後方にはドラマーという布陣だ。

『Dum-Dum』を曲順もそのままに演奏し、ほぼ1曲毎にMCが入る。ユージンは、しゃべればそんなことはないが、とても気難しそうな風貌。対照的にフランシスは愛嬌があり、ケラケラ笑っていて、愛らしい人だ。

ギタリストが3人いることになるが、フランシスはリズムギター、スティーヴィーもサイドギターにまわるのが大半で、キメのリフやソロはだいたいユージンだった。個人的に目を引いたのがドラマーで、シンプルなセットながら器用にこなし、ビートを刻んでいた。この人のキャリア、気になる。

『Dum-Dum』をプレイリストで作ると、30分にも満たない。しかし、さすがにライヴの場では若干アレンジが加えられ、曲が膨らまされているように思える。MCが多すぎたこともありはしたが、全曲演奏が終わり、バンドがステージを後にしたとき、開始から45分が経過していた。ここで、メンバーはステージから掃けていった。

この後メンバーは特に着替えもせず再登場し、ランダムに曲を演奏。さながら2部構成の様相だ。『Moly's Rips』では今井と向井がステージに呼ばれ、あのパフパフというラッパを鳴らす係に。2年前にリリースされた新譜『Sex With An X』からの曲もあり、もちろんキラーチューン『Sons Of A Gun』もあり、1曲が短いだけに次から次へと連射されて盛りだくさんに。アンコールもあって、オーラスは『You Think You're A Man』で、イントロのリフはスティーヴィーだった。

2009年にサマソニとブリティッシュアンセムズで観ているが、今回は会場が狭くステージも彼らの動きもかなり細かく見えて、じっくり堪能できた。ノイジーであり、パンクであり、それでいながらやはりポップ。60年代のスウィンギングロンドンのような懐かしさあり(彼らはスコティッシュだけど)、それでいて90年代のグランジやオルタナの感性も持ち合わせている。不定形にして混合しまくりの音楽性、そして気取らず気負わずさらりと歌い演奏するさまは、カート・コバーンにとっての理想だったのではないか。

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