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Television@Kichijoji CLUB SEATA

客の年齢層は相当高めになるだろうと思っていたところ、若い人も結構いて少し意外だった。キャパシティ650の会場、天井が低く密閉感ありありの空間にてテレヴィジョンのライヴを体感できるというのは、この上ない贅沢だ。

オープニングアクトのキノコホテル終了から25分を経て、幕の向こう側からイントロが始まった。そして客電が落ち、幕が開くと、既にメンバー4人が陣取っていた。トム・ヴァーレインはギターをチューニングしながら(この人はいつもそうだが)弾いていたが、やがて曲は『Prove It』となる。

テレヴィジョンの来日は10年ぶりで、ワタシが観るのもそのとき以来になるのだが、10年前とはひとりメンバーが替わっている。ギターのリチャード・ロイドが脱退し、2010年のヴァーレインのソロにも帯同していたジミー・リップが今のギタリストだ。

テレヴィジョンは、そのほとんどの曲で2本のギターの絡み合いがハイライトになる。そして、(リチャードのときもそうだったが)曲毎にリードギターとリズムギターをヴァーレインとジミーとでシェアする格好になっていた。つまり、ジミーはヴァーレインのサポートに徹するのではなく、自らも見せ場を作っていたのだ。序盤の『1880 or So』などまさにそうだ。

ジミーのギターはストレートでラウドで、これは「冷たい狂気」のような雰囲気を体現してきたテレヴィジョンに新風を吹き込んでいる。もちろんオリジナルは踏まえているのでもともとのイメージが変わることはない。ヴァーレインもそれを認め、楽しんでいるようだ。

『The Fire』『Glory』といった従来の曲は当然ながら場内のリアクションもいい。長尺の『Little Johnny Jewel』は、もちろん中盤のヤマ場になった。がしかし、この後披露された数曲は、恐らく新曲だと思う。ラウドでエモーショナルな曲はジミーのテイストが生かされていると思われ、一方でサードアルバムの曲のようなゆったりとした中に実験性を加えているような曲もあった。もしかして、近い将来にアルバム出るかな?

『Venus』は、何度聴いてもメロディーが沁みる。ファーストアルバムは今や時代を超えた名盤だし、ワタシにとってもベストフェイヴァリットの1枚なのだが、2013年のこんにちにナマを体感できるのは、まさに至福のひとときだ。

そして、クライマックスはもちろん『Marquee Moon』だ。イントロのリフをヴァーレインが弾いたその瞬間、場内は弾けた。ジミーのリフが続き、フレッド・スミスのベースも絡み、ビリー・フィッカのドラムが加わる。メンバーがひとりずつ演奏に加わっていく作りは、どきどきさせられる。ジミーがリフを延々と弾く中、ヴァーレインのヴォーカルパートを経て、後半の官能的なインプロヴィゼーションの展開となる。

ジミーがメロディーをキープする中、ヴァーレインは細かく弦を弾いては金属的なリフをランダムに発している。ジミーもヴァーレインも、ライヴ中ギターを交換することはなく、1本だけで弾き切っていた。ヴァーレインがソロを弾くときは終始うつむき気味で、こりゃもろにシューゲイザーだな。終盤のヴォルテージがどんどん上がっていくところでは、ジミーもフレッドもビリーも、ヴァーレインに視線をやっていた。この人が次にどう動くのかを見極めているようだった。

こうして本編は劇的に終了し、アンコールではカウント・ファイヴの『Psychotic Reaction』を披露。テレヴィジョンのライヴではお馴染みの曲だ。キノコホテルのコたちが、袖からステージを観ているのがちょっとだけだが見えた。こうして、約1時間40分
に渡ったライヴは幕を閉じた。

メンバーの見た目はさすがに年を感じさせるが、バンドとしての表現力は錆び付くどころかより一層磨きがかかっている。そう思わせてくれるパフォーマンスだった。なまじ名前や実績のあるバンドが長らく新作を出さずにライヴをする場合、曲そのものが持つ魔力に依存してしまい結果ノズタルジックになってしまうこともありうるのだが、テレヴィジョンは現在進行形のバンドだった。その最大の功労者は、ジミー・リップだと思う。

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