NHKで、芸能人がなりたかった職業を体験するという「仕事ハッケン伝」という番組がある。先月、俳優六角精児が渋谷タワーレコードで働くという、音楽ファン必見の回があった。

六角が配属されたのは、5階洋楽コーナー。最初のミッションは、新人バンドのポップ書きだ。ここで出てきたのが、サマソニに出演し現在音楽誌や音楽サイトをにぎわせている、チャーチズだ。現在50代の六角は、どうやら60年代70年代の洋楽にはかなりの思い入れがあるらしいが、今の洋楽はさっぱりの様子だ。

女性ヴォーカルをスティーヴィー・ニックスに例えようとするが、店員にはそれでは売れないとダメ出しされる。苦労してポップを書き、平和島にあるタワレコ本社での会議にも無事通り、チャーチズはタワレコメンとしてプッシュされるようになった。

次のミッションは、企画を立ち上げて実行すること。7つか8つの企画書を書くも、店長や副店長へのプレゼンでことごとく却下される。2つ残った中から六角が最終的にやりたいと言って推したのは、「パークミュージック」、つまり公園で聴く音楽10枚だった。

特設コーナーを作って10枚の作品を並べ、その中にもある森山直太郎のレーベルに直談判してインストアライヴにこぎつける。当日、六角は森山に企画の説明をし、森山はその中で自分を選んでもらったことを嬉しく感じたようだった。2人は、見た感じ恐らくこれが初対面だと思う。

CDが売れないと言われる昨今において、こういう裏側が見られたのはとても貴重だった。輸入盤は返品ができず、すべて店の買い取りになるため、セレクトにはかなり気を遣っていた。タワレコメンを決める会議では、店員がアルバムを聴くだけでなく、ライヴにも足を運んで、推せるか推せないかを見定めていた。事業である以上売らなくてはならない、でも、バイヤーの個性は出していい、それがタワレコの信条のように見えた。タワレコは、全国的には店舗の整理進める一方、旗艦店の渋谷店は気を吐いている。

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