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アトムス・フォー・ピース(Atoms For Peace)@Studio Coast 2013年11月23日

日本最終公演にして土曜日ということもあってか、開場前のグッズ売り場は長蛇の列で、開場待ちの人も多かった。ワタシは、昨夜はバルコニー席のひとつ上の段で見ていたが、今夜は2階指定席サイドのスペースに陣取った。視界を遮るものもなく、ステージ全体が見渡せる。

オープニングアクトのANSTAMを経て、18時過ぎに場内が暗転しメンバー登場。トム・ヨークがフロアを煽る仕草をしていて、これはレディオヘッドのライヴでは見られない光景と思う(バンドの違いのほか、キャパシティーの違いもあると思うが)。ライヴは、『Before Your Very Eyes...』でスタートする。

最初のクライマックスは、やはり『The Clock』だった。バックドロップの照明の閃光がすさまじいが、そして演奏はそれ以上にすさまじく、このシンクロ感がたまらない。このときパーカッションのマウロは、釣竿のように長くしなった棒にスティックを叩いてリズムを刻んでいた。『Ingenue』ではトムはピアノ弾き語りで歌い、原曲とは異なる仕上がりになっていて、これがライヴ映えしている。

2度目のクライマックスは、『Harrowdown Hill』だ。照明の閃光のド派手さは、このときがピークだったと思う。フリーの、体を滑らかにくねらせながらのプレイも冴え渡り、トムのヴォーカルはいよいよエモーショナルになる。フリーは向かって右が立ち位置、トムは正面だが、トムは向かって右前方にもにじり寄り、フリーは自分のポジションと反対側の方にまで足を進めていた。

ナイジェルはギターにプログラミングにと忙しく動き回るが、ほか4人のプレーヤーよりも一歩引いて脇を固め、言わば黒子に徹している。このバンド、ライヴを牽引しているのは一見トムとフリーだが、実はリードドラムバンドのようにも思えてくる。『Dropped』では、ジョーイの叩き出すビートとマウロのパーカッションが折り重なったダブルビートの生々しさが、かなり効いていた。

昨夜は割と1曲1曲をじっくりめに演奏しているように見え、曲間もふつうに取っていた印象があったが、今夜は曲間を最小限にして次から次へと連射するモードになっている。そしてそれが、ただでさえ緊張感に満ちているのを更に増幅させている。昨日も観ているパフォーマンスなのに、受ける印象がまるで異なる(今夜がラストという、観る側の意気込みの違いも関係していると思う)。正直に言って、1公演だけにしておけばよかったと思ったこともあったが、今では東京初日も取っとけばよかったとさえ思ってしまう。

『Cymbal Rush』の後メンバーはいったんステージから掃け、そしてアンコール(というより第2部のように思えるのだが)突入。『Feeling Pulled Apart by Horses』『Reverse Running』と、よくライヴで表現できるなあと思わせる曲たちだ。U.N.K.L.E.にトムが参加した曲『Rabbit in Your Headlights』では、ピアノを弾きながらトムが歌うのを経て、終盤はフリーによるリーディングが入った。

『AMOK』も生々しく構築され、そしてセカンドアンコールは『Atoms For Peace』。アンビエントっぽいリフは、プログラミングではなくバイオリンベース(ヘフナー?)を弾くフリーによるものだった。この後、ツアーラストらしくトムがメンバーを紹介。オーラスは、『Black Swan』だった。

セットリスト
Before Your Very Eyes...
Default
The Clock
Ingenue
Unless
And It Rained All Night
Harrowdown Hill
Dropped
Cymbal Rush
(encore 1)
Feeling Pulled Apart by Horses
Reverse Running
Rabbit in Your Headlights
Paperbag Writer
Amok
(encore 2)
Atoms for Peace
Black Swan

トムが『The Eraser』をライヴ表現するために結成され、当初は名前すら決まっていなかったこのバンド。それが曲名から取ってアトムス・フォー・ピースを名乗るようになり、2010年は本格的にツアーを敢行フジロックで来日もした。そして今年、このメンバーでは初となるアルバム『AMOK』をリリース。つくづく思うのは、トムがよくフリーをチョイスしたなあと思うのと、フリーもよく応えたなあということだ。この夢のコラボレーションが、別次元にして極上の空間を生み出したのだ。

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