エリック・クラプトン(Eric Clapton)@横浜アリーナ 2014年2月23日

最後になるかもしれない、と言われてもう10年くらい経っている気がするエリック・クラプトンの来日公演だが、68歳というこの人の年齢を思えば、今回がほんとうにラストかもしれない。

予定より10分ほど過ぎたところで客電が落ち、クラプトンその人が真っ先に登場。バンドメンバーも続いて登場し、『Pretending』でライヴはスタートした。ステージ両サイドにはスクリーンがあり、数ヶ所に設置されたカメラによりメンバーの様子を適時映し出す。ステージ上部にはアーチ型の照明があり、これが時にスクリーンにもなっていた。

メンバーは、ステージ向かって右前方にベースのネーサン・イースト、その右後方にキーボードのクリス・ステイントン、後方正面にはドラムのスティーヴ・ガッド、左後方に黒人女性コーラス2人、その左にキーボードのポール・キャラックという具合。つまり、今回ギターはクラプトンひとりだ。

そのクラプトン、ジーンズにベストというラフないでたち。表情を見る限り、さすがに老けたなあと思ってしまう。しかし、ギターの腕は錆び付くことなく相変わらず冴えている、と感じる。曲は、『Keys To Highway』『Tell The Truth』『Hoochie Coochie Man』と続いていく。自分の持ち歌とリスペクトする先人のカヴァーが入り交じるが、違和感などあるはずはない。

ほとんどの曲において、助走のようなギターのイントロがあり、メロディーに差し掛かったところでどの曲とわかるような具合だ。そして1曲1曲が長尺で、丹念に演奏しているように見えた。中盤や後半にはお馴染みのギターソロがあり、ブラッキーを自分の体の一部のように操るこの人の勇姿を確認できる。

この日は来日7公演中4公演目で、言わば折り返しに当たる。前3公演のセットリストはだいたい把握していた。この日もその枠から飛び出すことはないだろうと思っていたところにきて、まさかのフレーズが。今回聴けるとは思っていなかった、『I Shot The Sheriff』だ!あがった。間違いなく、この瞬間、場内はあがった。そして、ワタシの心もあがった。

この後アコースティックコーナーになり、クラプトンは椅子に腰掛け、ブラッキーからマーチンに持ち替えてブルースナンバーを披露。ネーサンイーストは縦長のベースに持ち替え、黒人女性2人も椅子に座って要所でコーラスを入れていた。

ここでの見せ場は、やはり『Layla』『Tears In Heaven』だった。共に92年のアルバム『Unplugged』で大きくクローズアップされ、去年はそのデラックスエディションもリリースされたが、今回はアンプラグドのときとは異なる、もっとシンプルかつラフなアレンジで演奏された。

この後通常セットに戻るが、また一段ギアが入ったような感じになる。演奏がタイトになり、緊張感が漂ってくる。また、今回必ずしもクラプトンがヴォーカルを取るわけでもなく、曲によりキーボードのポールが歌い、クラプトンはギターに徹することもあった。本編ラストはお約束と言っていい『Cocaine』で、アンコールはジョー・コッカーの『High Time We Went』という曲。ここでもリードヴォーカルはポールで、クラプトンはギターおよびコーラスに徹していた。バンドメンバーを紹介することもなく、これにて終了した。


Pretending
Key to the Highway
Tell the Truth
Hoochie Coochie Man
Honest Man
Wonderful Tonight
I Shot the Sheriff

Acoustic:
Driftin' Blues
Nobody Knows You When You're Down and Out
Alabama Women Blues
Layla
Tears in Heaven

How Long
Before You Accuse Me
Cross Road Blues
Little Queen of Spades
Cocaine

Encore:
High Time We Went

ヴォーカル面においては、高音になると歌い回しを変えて低く歌うようにしていたので、さすがにきついんだろうと思った。また、セットリストは約半数がカヴァーで、これは21世紀になってからリリースされている、アルバムの傾向を反映しているようにも思えた。この人のキャリアを鑑みたとき、当初はギターオンリーで、ヴォーカルを始めたのはクリーム後期辺りからだと思う。ラストかもしれないこのツアーに来て、この人はギタリストに立ち戻り、今まで以上にルーツに回帰しているのではないかと思う。

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