ジェフ・ベック(Jeff Beck)@東京ドームシティホール 2014年4月9日

個人的に4年ぶりとなるジェフ・ベックのライヴ。会場は、4年前と同じ東京ドームシティホールになった。この日は撮影カメラが入っていて、後日CSかBSで放送されるかもしれない。

定刻を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、バンドメンバー3人による演奏がスタート。ヘヴィーで重厚感に溢れるサウンドは、これまでの来日公演とは様相が異なることを痛感させてくれる。そして、最後にジェフ・ベックが登場し、演奏に加わった。新曲『Loaded』だ。ジェフは、なんとテレキャスターを弾いていた。

続くも新曲『Nine』で、ここでジェフはストラトキャスターに交換。しかしこの人、見た目がぜんぜん変わらない。薄いブルーのパンツに黒のベスト姿で、つまり両腕をむき出しにしている。とても69歳とは思えない。ジミ・ヘンドリックスのカヴァーでインストの『Little Wing』はラウドにかき鳴らし、エリック・クラプトンのブルージーでエモーショナルな解釈と対比しながら楽しませてもらった。

バンドメンバーの配置は、ステージ向かって右から左に、ギターのニコラス・マイアー、黒人ドラマーのジョナサン・ジョセフ、ベースのロンダ・スミス。ジョセフとロンダは後方に構えていて、前方中央から向かって左はがら空きになっている。ココは、ジェフがギターを弾きながらも目一杯歩き回るスペースだ。

ニコラスは曲毎にギターを変え、演奏はほぼジェフを見ながらだ。リズムに徹する忠実な従者ぶりを発揮しつつ、時折ジェフのギターにも重ねてくる。「さくら」のフレーズを弾いたりもして、小回りがきく。ジョナサンはパワー型ドラマーで、重く太いビートを弾き出し、これがジェフのギターと意外に相性がいい。ロンダは前回2010年のメンバーでもあるが、シャドウの入ったメガネをかけてクールにプレイしていた。

メンバーはみな腕利きばかりだが、しかし主役はもちろんジェフでありジェフのギターだ。ピックを使わない指弾きでギターを巧みに操り、まるでギターが自分の体の一部であるかのようだ。普段の立ち位置は中央だが、エフェクターは向かって左にあるらしく、弾きながら、あるいは次の曲に移る前に調整していた。

サングラスをかけていて一見クールそうなジェフだが、仕草は結構お茶目だ。『Angel(Footsteps)』ではスライドバーを使って細かい金属音を発していたのだが、曲が終わると、なんと客席にスライドバーを投げ入れていた。『Where Were You』では、イントロのリフで場内が沸き立つとそこでストップし、これからだよといったような手振りを見せてから再度弾き始めた。

中盤のハイライトは、『Goodbye Pork Pie Hat』からメドレーでの『Brush With The Blues』へとなだれ込んだところだろうか。後者は、『Who Else!』リリース以降ライヴのマストソングになった気がしていて、本人が余程気に入っているのだろうか。

『Blue Wind』のイントロが流れると、ライヴが終盤に差し掛かったことを実感する。そして今回は『Led Boots』と立て続けだったので、『Wired』ワールドをしばし堪能した。本編ラストは、『Big Block』『A Day In The Life』という、この人の定番ナンバーだ。

アンコールは、まずは『Rollin' And Tumblin』。いちおうロンダがヴォーカルを担うのだが、「ウォウウォウ」を客にも歌わせるための先導役だ。このアレンジにしたことで、アルバム『You Had It Coming』収録のバージョンよりも、原曲に少し近い雰囲気になった気がする。

そして、ジェフの代表曲『Cause We’ve Ended As Lovers/哀しみの恋人達』だ。これをやったらもう終わりかと思ったのだが、メンバー紹介するジェフを横目に、ロンダはスティックからエレキベースへと持ち替えていて、こりゃもう1曲あるなと思った。オーラスは、新曲の『Why Give It Away』だった。

セットリスト
1. Loaded
2. Nine
3. Little Wing
4. You Know,You Know
5. Hammerhead
6. Angel (Footsteps)
7. Stratus
8. Yemin
9. Where Were You
10. The Pump
11. Goodbye Pork Pie Hat / Brush With The Blues
12. You Never Know
13. Danny Boy
14. Blue Wind
15. Led Boots
16. Corpus Christi Carol
17. Big Block
18. A Day In The Life
アンコール
19. Rollin' And Tumblin'
20. Cause We've Ended As Lovers
21. Why Give It Away

ワタシにとってのこのライヴのハイライトは、新曲を畳み掛けてきた序盤だった。見た目の若々しさは相変わらずだが、リリースしている作品はここ数年はライヴアルバムが多く、オリジナルでは最新作の『Emotion And Commotion』はオーケストラの導入があったりで、もうこの人から「攻め」の曲が生み出されることはないのではと思っていたところだった。

そこへ来て、出だしからガンガンに攻めてきたものだから、こちらとしてはたまったものではない。今回、来日に際して3曲入りのミニアルバムがリリースされたが、近いうちにオリジナルのフルアルバムがリリースされるかもしれない。老いるどころか、まだまだこの人は現役だ。

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