スウェード(Suede)@EX Theater

公演日が平日で公演発表が先月ということもあってか、客入りは必ずしも芳しくはなかった。1階フロア後方は、柵を立てて人を入れないようにしていたし。しかし、ライヴはいつも通りに素晴らしかった。

ほぼ定刻にSEがしばらく流れ、そのまま客電が落ちる。メンバーがゆっくりと登場してそれぞれ持ち場につく。最後に現れたのが、ブレット・アンダーソンだ。今回のライヴはセカンドアルバム『Dog Man Star』全曲ライヴで、その冒頭である『Introducing The Band』で幕開けだ。

アルバム全曲を曲順もそのままに演奏するということで、妙な緊張感が漂う。独特のアレンジもインプロヴィゼーションも、特にはない。『We Are the Pigs』こそブレットはエモーショナルだったが、続く『Heroine』はしっとりめに歌い上げていた。

メンバー配置は、前方中央にブレット、向かって右にギターのリチャード・オークス、後方中央にドラムのサイモン、その左にベースのマット、キーボードのニールはコーラスも担い、また曲によりギターを弾いていた。5人全員、黒を基調とした衣装だ。そして、『The Wild Ones』に差し掛かったときに、後方に女性8人がお目見え。バイオリンなどのストリングス隊で、全員日本人だった。

ここからがまさに全曲ライヴの本領発揮で、生バンドとストリングスとのコラボレートによって荘厳なる雰囲気が漂い、ブレットの情熱的なヴォーカルが一層引き立てられている。照明は全体的に暗めで、時折ブレットやリチャードにピンスポットが当たるという具合だ。メンバーの姿があまりよく見えない代わりに、アルバムの空気感が構築されているように思え、むしろ演出効果があがった格好だ。

個人的にスウェードのベストソングである『New Generation』も、曲順に沿い前半で早々に披露され、ココはさすがにエモーショナルなモードになった(ストリングスはこのとき捌けていた)。しかし続いてまた荘厳モードへとシフト。コンセプチュアルなライヴはこのように進められるものと妙に納得。

終盤で、再びストリングス隊が復帰。ラストの『Still Life』ではリチャードのソロとストリングスの演奏力が映え、これで本編が終わった。

そして、通常モードのアンコール。『Killing Of A Flashboy』を経て、『Trash』で場内が弾けた。ブレットの「Sing it!」も、それに応えて歌うオーディエンスも、今や恒例と化していて慣れたものである。『Can't Get Enough』『She's In Fashion』と、4作目『Head Music』からの曲がフィーチャーされているのも嬉しいところだ。特に後者はリズム隊が捌けていて、リチャードとニールがセミアコを弾く、「聴かせる」バージョンだった。

終盤は『So Young』『Metal Micky』とファーストに立ち返り、そしてオーラスは去年もそうだったように『Beautiful Ones』だ。これで終わりという曲調ではなく、これからもライヴが続いていくかのような曲調に思え、これが現在の彼らのスタンスを表しているように思えた。

【Dog Man Star】
Introducing the Band
We Are the Pigs
Heroine
The Wild Ones
Daddy's Speeding
The Power
New Generation
This Hollywood Life
The 2 of Us
Black or Blue
The Asphalt World
Still Life

【Encore:】
Killing Of A Flashboy
Trash
Animal Nitrate
Can't Get Enough
She's In Fashion
The Drowners
So Young
Metal Mickey
Beautiful Ones

全曲ライヴという試みは、まるでクラシック音楽の演奏会のように、CDで聴いていてあらかじめ先の展開がわかっている心持ちでクライマックスを待つ、という味わい方が醍醐味になっていると思う。それと同時に、今回披露された『Dog Man Star』全曲のうちの過半数は、このツアーが終わってしまえば今後演奏されることはなくなってしまうと思われる。増してや、これが彼らの本国だけでなく、ここ日本でも実現されたことが、たまらなく嬉しい。これらのことをつらつら考えれば、とても貴重なライヴに立ち会えたと、終演後の余韻に浸っている。

ここのところ4年続けて来日してくれていて、にもかかわらず、またもやブレットは「See you soon」と言っていた。次回はさすがに「soon」でなくてもいいので(笑)、また充実した勇姿を私たちの前に見せてほしい。

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