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五番目のサリー〈上〉 五番目のサリー〈下〉

ニューヨーク。地味でおとなしい性格のサリー・ポーターは、時折記憶喪失になってしまうことが原因で仕事は長続きせず、結婚も破綻。しかし、実はサリーには、自身の知らないあと4つの人格があった。知的なノラ、ダンスが好きで奔放なベラ、凶暴なジンクス、そしてサリーの身に起こったことは全てわかる「記録係」のデリー。サリーが自身の身に迫った危険に自ら対処できなくなったときに頭痛が起こり、別人格が登場して対処する。その間に起こったことを、サリーは知らない。

サリーは精神科医ロジャーにかかり治療を受けるが、最初は自分が多重人格であることを認めようとしない。しかし、あるときベラの状態の自分がテレビに映ったのを見たことで事態を認識し、向き合うようになる。ロジャーのアプローチは、催眠術により別人格を呼び出して話を聞き、サリーとの融合を促す。

先日亡くなった作家ダニエル・キイスによる、傑作「アルジャーノンに花束を」に続く長編小説だ。ワタシの感触では「アルジャーノン」よりも読みやすく、ページがすらすらと進んだ。その一方、性的にかなりきわどい描写もあって、この人こういうことも書くんだなあと思わされる。

サリーと別人格との融合は、ひとりずつ行われた。

サリー+ノラ=2番目のサリー
2番目のサリー+ベラ=3番目のサリー
3番目のサリー+デリー=4番目のサリー
4番目のサリー+ジンクス=5番目のサリー

幼少期における、それぞれに悲しいサリーの体験が、新しい人格を生み出した。ジンクスだけがかなりのクセ者だが、ほか3人は女性としての魅力を備えている。思うに、別人格というよりはサリーがもともと持ち得ていた人格が、極端に分裂してしまったのだと思う。

この作品は小説つまりフィクションだが、この後にダニエル・キイスは多重人格者のノンフィクションを書いている。今読んでいるところだが、恐らく「5番目のサリー」は「アルジャーノン」と次なるノンフィクションとの橋渡しのような位置付けにあるのではと思っている。

 
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